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巨人連覇の中心に阿部慎之助あり。
松井秀喜が見た成長、そしてオーラ。 

text by

鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/09/23 11:30

巨人連覇の中心に阿部慎之助あり。松井秀喜が見た成長、そしてオーラ。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

優勝を決め、東京ドームにつめかけたファンに挨拶する巨人の選手たち。その先頭には、原辰徳監督と阿部慎之助の姿があった。

 9月22日午後6時3分。東京ドームで巨人の先発・菅野智之が広島の3番打者・キラに1球目を投じたときだった。はるか離れた甲子園球場で鳥谷敬が見逃し三振に倒れて阪神が敗れた瞬間、巨人の優勝が決まった。

 それから数分後。広島の1回の攻撃が終わった直後に、電光掲示板に「ヤクルト7-6阪神」という甲子園球場の試合結果が映し出された。球場全体が大きな歓声に包まれ、ベンチからは「よっしゃ!」という声がわずかに響いてきた。高橋由伸とホセ・ロペスが握手を交わし、テレビに映し出された原辰徳監督は3度ほど拍手をして選手たちを讃える姿を見せた。

 これが巨人のリーグ連覇の瞬間だった。

 あっけなくやってきたペナントレースのゴール。それでも指揮官はこの試合の最後に粋な演出を用意して、東京ドームの巨人ファンのテンションを最高に盛り上げてくれた。

 阿部慎之助の代打起用である。

 前日の試合開始直前に帯状疱疹が発症して、この日も先発から外れたチームリーダーの登場に、スタンドは優勝の瞬間以上に大きな歓声と拍手に包まれた。

「何とか元気な姿を少しでもファンの皆さんに見せられたらなというのがあったので……。素晴らしい演出をしていただいた」

「このチームは慎之助のチームである」

 まだ、本来なら代打でも試合に出られる体調ではなかった。それでも阿部の姿なくして、このチームの優勝はありえないという指揮官の配慮だったのだろう。初球を打って一塁ライナーに倒れたが、ファンは今年1年、チームを引っ張ってきたキャプテンに祝福と感謝の拍手を送った。

「このチームは慎之助のチームである」

 原監督は、ことあるごとに今の巨人をそう表現してきた。

 昨年、今年とリーグを連覇し、そして40年ぶりとなる連続日本一を目指す巨人の強さの秘密には、阿部慎之助が確固たるチームリーダーへ成長したという事実がある。

 そのことを今年、改めて強烈に感じた巨人OBがいた。

【次ページ】 松井秀喜が感じた、かつてなかった“オーラ”。

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