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高橋大輔が語った、
“区切りの年”への思い。
~ビートルズとともにソチへ挑む~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byShino Seki

posted2013/09/16 08:00

高橋大輔が語った、“区切りの年”への思い。~ビートルズとともにソチへ挑む~<Number Web> photograph by Shino Seki

合宿ではハードな練習の合間に、地元のフィギュアスケーターたちと談笑する姿も見られた。

 8月、北海道合宿のさなか、真剣な中にも時折ふと和らぐ表情は、どこか楽しげな雰囲気を漂わせていた。

「合宿のスタートから、ハードな練習をしながらも、レベルを落とさないでやれていると思います」

 フィギュアスケートの第一人者、高橋大輔も合宿の手ごたえを語る。

 充実感の理由は、練習の質ばかりではない。

 この合宿で、フリーのプログラム「ビートルズメドレー」を初めて披露した。「イエスタディ」で始まり「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」まで、誰もが知る5曲で構成されている。全体に、穏やかな雰囲気のプログラムだ。

「もし自分で曲を選ぶとすれば、選んでいないでしょうね。とても有名じゃないですか」

 だが、今年の5月、初めて振り付けを依頼したローリー・ニコルから提案されると、心を動かされた。

「自分自身、毎日聴いていてもほんとうにいい曲だなと思うし、滑っていても、曲を聴いて体を動かしているだけで幸せになれる、そんな感じです」

オリンピックのシーズンに「これだ」と思えるものに出会えた。

 曲への思い入れがどれほど強いか。それは次の言葉にも表れている。

「試合ですごくいいものにしたいという気持ちがとても強くて。今シーズン、何試合に出るのか今は分かりませんが、すべての試合で、ジャンプのミスもなく、全部がよかったという風にしたい。そういう気持ちがあります」

 昨シーズンは、8月に入ってもフリーのプログラムが完成しない状態にあった。今シーズンは早々に、「これだ」と思えるものに出会えた。しかも、4年に一度の舞台を控えるシーズンに、である。

「オリンピックのシーズンでこのプログラムに会えてよかったなと思います」

 そんな高橋が、ふと、口にした。

「どうなるか分からないけれど、北海道合宿、最後になるかもしれないですから。そう思うと寂しくなるので、考えないようにしています」

 オリンピック後にどうするか、確定しているわけではないと言う。それでもひとつの区切りにすると決めて、取り組んできた。

 特別な1年となるシーズンを、「会うことのできた」曲とともに、進んでいく。

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