SCORE CARDBACK NUMBER

帰ってきた山本愛は
全日本に何をもたらすか。
~世界バレー開幕プレビュー~ 

text by

久保大

久保大Masaru Kubo

PROFILE

photograph byMichi Ishijima

posted2010/10/28 06:00

帰ってきた山本愛は全日本に何をもたらすか。~世界バレー開幕プレビュー~<Number Web> photograph by Michi Ishijima

山本の機動力には定評があり眞鍋監督も「竹下とのコンビは世界一速い」と期待を寄せる

 10月29日、バレーボール女子世界選手権が開幕する。今シーズンの全日本は前哨戦となるワールドグランプリで、北京五輪金メダルのブラジルに9年ぶりに勝利、強豪イタリアにも2勝1敗、と明らかにチーム力はアップしている。

 その理由はブロック、つなぎのプレーなどいくつかあるが、あえて一言でいってしまえば木村沙織の成長である。グランプリでは得点王に輝いた。ただ、評価されるべきは得点の多さより、質。苦しい場面で彼女が決めることで、接戦を勝ちにつなげられるようになった。サーブレシーブをこなした上での攻撃面の活躍は、木村がワールドクラスの選手になった証明と言っていい。

 日本にとって永遠の課題は、サーブレシーブが乱れた時どうするか、にあった。

 セッター竹下佳江がほぼ動かずに、トスをあげられるサーブレシーブ=Aカットを返した場合の決定率は世界でもトップクラス。問題はサーブで崩されBカット、Cカットになった時、決定率が下がってしまうことにあった。

 ブラジル、イタリアへの勝利は、そうした場面を木村が、個の力で打破することによって生まれた。

現役復帰した山本愛が攻撃面でのオプションとなる。

 ただ、木村へのマークはさらに厳しくなる。攻守の中心である彼女をつぶすことが、打倒日本への早道だからだ。24カ国が集まる世界選手権は、17日間で11試合をこなすハードスケジュールでもある。

 いかに木村の負担を軽くするのか。

 攻撃面で、オプションになりうるのが山本愛だ。旧姓の大友でアテネ五輪に出場。妊娠、出産で引退していたが、2年前現役に復帰し、今季全日本に再び選ばれた。スピードとパワーを兼ね備えた数少ないセンタープレーヤーであり、短い助走、ステップで強い球を打てる。Bカットの時、これまで木村などサイドの選手にボールが集まるケースが多かったが、ここでマークの薄い山本で得点できれば、相手のブロックを分散させられる。

 山本は昨季、速いバレーを求めて、竹下のいるJTに移籍した。JTでも、Bカットからのコンビは意識して取り組んでいたが、全日本でも眞鍋政義監督の指示で、より磨きをかけている。 世界選手権で「山本」の名前がどれくらい呼ばれるか。全日本の成長を測るバロメーターになる。

■関連コラム► <何が彼女を変えたのか> 木村沙織 「目覚めたパッション」 (09/11/09)
► 若き主将が士気を高める、眞鍋ジャパンに注目せよ。 (09/08/20)

関連キーワード
山本愛

ページトップ