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“MLB最強のクレイジー”、
「T」が横浜を覚醒させる夏。 

text by

村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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photograph by(C)YDB

posted2013/07/17 10:30

“MLB最強のクレイジー”、「T」が横浜を覚醒させる夏。<Number Web> photograph by (C)YDB

ブルワーズで青木宣親にポジションを奪われ、昨年オフにFAで移籍したナイジャー・モーガン。青木は「トラブルメーカーのイメージがあると思うんですけど、そんなこと全然なくて、とてもあったかい人間で、すごく好きなタイプの選手」と雑誌に答えている。

皆が「T」を作って喜んでくれるのが嬉しい。

――後半はともかく、基本的にすごく謙虚な物言いが目立ちますが、MLB時代は相当な暴れん坊だったようですね。日本へ来て何か変えたのですか?

「No! No! 自分自身は何も変わっていません。変わったのは年をとったくらいですよ。アメリカでもチームのため一生懸命に働くというのを基本にやってきただけです。ただ、戦う姿勢は見せないとチームにもファンにも伝わりません。そういう怖いところだけをメディアが意図的に報じるので、皆さんの印象と本当の僕の姿は、だいぶ違っていたと思います。ただ、これが本当の自分です。

 そして、僕は日本に来て本当によかったと思っているんです。アメリカでも『T』をやっていましたが、向こうの考え方として、そういうパフォーマンスをやると『真剣に野球をやっていない』と怒られたり、中傷を受けることもあったので、僕自身楽しんで野球ができなかった。だから、その度にいくつも人格を作らなきゃならなかったんですね。でも、日本の人たちはトニー・プラッシュを受け入れてくれるし、皆が『T』を作って喜んでくれる。嬉しいですよ。これからもトニー・プラッシュ一本で行けたらと思います。……アリガトウ! ダイスキ! Ahhhhaaaa! このまま成績を残して、引退するまで日本でプレーしたいと思っています」

僕は電車通勤。東京ドームも神宮も全部電車で行く。

――チーム内でもスタンドでも「T」が定着してきたようですが、それらの反応をどう受け止めていますか?

「自分の知名度が少しずつ上がっているというのは実感としてあります。街中でも電車の中でも、ファンの人が『T』とやってくれれば、僕も返しますし、声をかけて貰えれば、いつでもサインに応じます。僕は電車通勤なんですよ。東京ドームも神宮も全部電車でいく。電車は渋滞もなく確実に時間に着くし、値段も安く済むから好きなんです。それに試合後、ファンの人と一緒に写真を撮ったり、一緒に電車に乗って帰れますしね。

 この前の平塚の試合の帰りも、東海道本線の車両に少年野球の団体が居てね。Ahaaaaaaa! HAHAHAHA! みんな『T』をやってくれたんだ。皆が『T』をやってくれると僕も嬉しい。特に子供が自分を見て『T』をやってくれると本当に嬉しいんです。僕自身も子供の頃にプロ野球選手に憧れました。だから、彼らの見本になるように、プロ野球選手としてだけでなく、一人の人間としても、しっかりやるべきだと思っています」

【次ページ】 普通のT、小さなT、両腕を広げた大きなT。

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