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好調ロッテを支えるのは、
育成から這い上がった男。
~強心臓の5年目右腕・西野勇士~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/05/28 06:00

好調ロッテを支えるのは、育成から這い上がった男。~強心臓の5年目右腕・西野勇士~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

本拠地初先発となった5月8日の西武戦でも7回3失点で4勝目。牧田和久に投げ勝った。

「誰がこれだけ活躍すると思ってた? この順位は、あいつのお蔭だ」

 5月14日の交流戦開幕をパ・リーグ首位で迎えたロッテの伊東勤監督は、快進撃の立役者として、チームトップの4勝をマークした5年目の右腕、西野勇士の名を挙げた。

 西野は富山県立新湊高を経て、'09年に育成ドラフト5位でロッテ入団。昨シーズンまで二軍で2勝7敗と、結果を残せずにいた。戦力外通告も頭をよぎった昨シーズン、たまたま二軍で調整していた里崎智也がブルペンで球を受けてくれた。直後にアドバイスを求めると、「一軍で通用するぞ。ビクビクせずに堂々と投げろ」と言われ、自信を取り戻した。

 さらにチャレンジ・マッチ(若手育成試合)で結果を残し、「投手の駒は減らさないでくれ」と球団に要望していた伊東新監督の眼にもとまって、昨年11月に支配下登録を掴みとった。

齊藤明雄コーチと話し合い“外角スライダー”の活かし方を習得。

 今季から投手コーチを務める齊藤明雄との出会いも大きかった。かつて横浜の名ストッパーだった齊藤にはこんな苦い経験があった。オールスター戦でフォークボールを多投して連続三振を奪った翌日、江夏豊に呼び出され、「こんなところで一番いい球を使ってどうすんじゃい。バカたれ」と叱られたという。

 齊藤はこのエピソードを交えながら、西野に“プロの投手は、決め球を大切にし、逆算して投球を組み立てるべきだ”とアドバイスを送った。2人で投球の組み立てについて何度も話し合った結果、“外角のスライダー”の活かし方を身につけた。

 プロ初勝利を飾ったのは、4月8日の楽天戦。前日に先発として27球を投げたが、雨でノーゲームとなり、志願してのスライド登板だった。西野は連投の疲れを感じさせない投球で、7回を被安打5の無失点に抑え、“初先発初勝利”。その後も先発した7試合中5試合で7回以上を投げ、5勝1敗と監督の期待に応えている。

「好きな選手のタイプは」と訊ねると、「好きな選手はいません。自分が好きになるより、自分が好かれたいんです」と答える強心臓ぶり。支配下登録1年目の22歳の若武者は、'86年のセンバツで“新湊旋風”を巻き起こした母校にちなんで、「ロッテで新湊旋風を巻き起こしたい」と、力強く語った。

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