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チェルシーをEL初優勝に導くも……。
最後まで愛されなかったベニテス。  

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2013/05/21 10:30

チェルシーをEL初優勝に導くも……。最後まで愛されなかったベニテス。 <Number Web> photograph by Getty Images

どことなしか、笑顔がぎこちなかったEL優勝時のベニテス。選手達が喜びを爆発させている中で、その表情が印象的だった。

 5月15日のヨーロッパリーグ(EL)決勝、チェルシーは劇的な後半ロスタイムの勝越し点でベンフィカを下した(2-1)。

 決勝点が生まれた瞬間、アムステルダム・アレナ内のチェルシー陣営の中で、最も冷静な反応を見せたのは監督だった。ラファエル・ベニテスは、ブラニスラフ・イバノビッチのヘディング・シュートが、GKの頭上を越えて相手ゴールに吸い込まれるのを見届けると、軽く上げた右手の拳を握っただけで、すぐさまベンチの方を向いた。昨年11月から指揮を執る暫定監督は、クラブの経営陣には来季続投を検討してもらえず、サポーターには情を示してもらえないまま、任期を終えようとしていた。そう考えれば、冷めたリアクションも当然と受け取れた。

 しかし、ベンチに戻る指揮官の目元は緩んでいた。喜びを爆発させて抱きついてきたGKコーチほどではなかったにせよ、納得の微笑を浮かべていた。それもそのはず。決勝の4日前に、ノルマとされていた来季CL出場権を確保したベニテスは、暫定指揮の集大成とも言うべき一戦で、トロフィー獲得まで実現してみせたのだ。

国内だけでなく、国外4大会にも出場したチェルシーの過酷な日程。

 試合前半が劣勢だった要因には、指揮官が好む慎重な入り方以上に、如何ともし難いチームの蓄積疲労があったはずだ。

 今季のチェルシーは、“ウィンター・ブレイク”のない国内のハードな日程に加え、国外の4大会にも出場した。開幕からの9カ月間で12カ国目の戦場となったオランダでのEL決勝は、実に68試合目。しかも、エデン・アザールとジョン・テリーを怪我で欠き、ベンチに入ったビクトル・モーゼスも大腿を痛めていたため、延長戦の可能性を睨みながら、選手交代にも慎重にならざるを得なかった。結果的にフルタイムを交代なしで戦えたのは、頑なにローテーションのポリシーを貫いた、ベニテスの姿勢があってこそだろう。

 コンディション管理の恩恵を受けた1人として、フランク・ランパードが挙げられる。ベニテスは、昨年12月に約1カ月半ぶりに怪我から復帰したベテランMFに対し、週に2試合ペースでの先発起用を終盤戦で極力避けた。調子を取り戻していた1、2月でも、連戦となると精彩を欠いたランパード。そのまま今季を終えていれば、今夏で35歳という年齢を意識していた経営陣を相手に、最終的に実現した来季末までの1年間契約延長は難しかったのではないだろうか。

【次ページ】 ランパード、ダビド・ルイスらの絶妙な起用も。

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