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人口375万人の強豪。
~小さなスポーツ王国プエルトリコ~ 

text by

小川勝

小川勝Masaru Ogawa

PROFILE

photograph byNaoya Sanuki

posted2013/04/30 06:00

人口375万人の強豪。~小さなスポーツ王国プエルトリコ~<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

3月に行われたWBCで準優勝したプエルトリコ。モリーナ、リオスをはじめとした実力派メジャーリーガーを擁する相手に、侍ジャパンが苦杯を喫したのは記憶に新しい。

 WBCはドミニカ共和国の初優勝、日本は準決勝敗退という結果だった。優勝チームや日本の敗退という注目ポイント以外で2013年大会を振り返ってみると、準優勝のプエルトリコが非常に興味深いチームだった。興味をそそる理由はまず、通算5勝4敗という成績で準優勝している点だ。2次ラウンドでは敗者復活戦に回ったため大会最多の9試合を戦っている。

 12日間で9試合だから、投手陣のやり繰りは厳しかったはずだ。そんな中で準優勝したのは、肝心の試合で接戦をものにしたからだった。

 チームデータを見ても興味深い。打線のほうはC・ベルトラン(カージナルス=今季年俸13億3500万円)、Y・モリーナ(カージナルス=同14億2000万円)、A・リオス(ホワイトソックス=同13億円)といった大物大リーガーがそろっていたものの、チーム打率は「.216」で出場16カ国中12番目に過ぎなかった。チームOPS(出塁率+長打率)も「.581」で12番目。本塁打は9試合で2本だけ。4強に残ったチームの中で、最も少なかったのである。

プエルトリコが野球とバスケで成し遂げた世界で唯一の偉業とは?

 一方、チーム防御率は2.88で全体4番目の好成績だったが、投手陣に大物大リーガーはいなかった。通算78回で73安打、25四死球。1回当たりの平均走者数は1.26人で、日本の1.20人より多かった。走者は出したが、適時打をめったに許さなかったわけだ。日本戦でも見せた内野の守備力と的確な継投。これがプエルトリコの特長だったと言える。

 プエルトリコは米国の自治連邦区。米国の下院に代表者を送っているが、市民に米国大統領選の投票権はないという立場だ。産業は農漁業や観光が中心で、'09年の平均世帯年収は1万8314ドル(約183万円)となっている。豊かな国ではないものの、スポーツの面から見ると、世界でプエルトリコだけが成し遂げている「偉業」がひとつある。米国の国技、野球とバスケットボールの両方において、米大リーグ、およびNBAの選手が全面参戦した大会で、米国に勝ったことのある唯一の国なのだ(ここでは便宜上「国」と表現する)。

【次ページ】 アテネ五輪ではNBAのスター軍団に19点差の快勝劇。

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