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強いチーム? やる気のある従業員?
スタジアムを満杯にするのは誰か。 

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葛山智子

葛山智子Tomoko Katsurayama

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photograph byGetty Images

posted2013/03/26 10:30

強いチーム? やる気のある従業員?スタジアムを満杯にするのは誰か。<Number Web> photograph by Getty Images

サンディエゴ・パドレスの本拠地、ペトコ・パーク。海沿いの街らしく外壁は白い砂浜をイメージしたという。2006年、第1回WBCで王貞治監督率いる日本代表チームがキューバを破り世界一に輝いた球場でもある。

 3月。Jリーグに続き、プロ野球もいよいよ開幕する。春夏共に甲子園優勝投手となった阪神・藤浪や日ハム・大谷、巨人・菅野などルーキーの活躍も楽しみだ。

 かつてに比べればテレビの地上波での野球中継は少なくなったが、スタジアムに足を運ぶ人はどうだろうか。昨年の入場者総数はセ・リーグで11,790,536人、パ・リーグ9,579,690人、1試合当たりそれぞれ27,293人、22,175人であった(一般社団法人日本野球機構ウェブサイト)。セ・リーグの1試合平均入場者数は、1992年の35,309人をピークに、その後多少の増減はあるものの2005年以降は30,000人を下回っている。(パ・リーグは過去20年間、20,000人から26,800人の間で推移している。)

 読者の皆さんは、シーズンに何回ほど足を運んでいるだろうか。わざわざスタジアムに足を運ぶ場合、その理由は何だろうか。

 特定のチーム・選手の活躍を直接観たい、応援したいという気持ちで向かう人もいるだろう。友人や家族と過ごす1つの選択肢としてスタジアムを選ぶ人もいるだろう。日常とは違うその空間自体を楽しむ人もいるだろう。

 スタジアムに行こう、また行きたいと思うきっかけは、チームや選手への思い入れやチームの試合内容と共に、スタジアム体験そのものの満足度というのも大きな理由となっているのではないだろうか。

 昨年のコラムで私のQVCマリンフィールドでの体験談を書いたが、試合後にファンサービスとして行なわれたフィールドウォーク中にスタッフの1人と言葉を交わした際、そのスタッフの明るさ、礼儀正しさが、スタッフ、そしてマリーンズ自体に対するさらなる好感をもたらしたことを今でも覚えている。もちろん試合の勝敗の影響がスタジアムの体験を左右することに疑いの余地はないが、それ以外の、例えば試合展開とは直接関係のないスタジアムイベントや、スタッフとの交流などもスタジアム体験に影響を与える。特に、スタジアム観戦の迫力やスタンドの一体感に価値を感じるタイプの観客にはなおさらである。

来場者を増やす従業員はどんな人なのか。

 では、よい顧客接点を持てる従業員とはどのような人なのか。1つには、自身の仕事に誇りを持ち満足している人が挙げられる。そのような従業員は、観客ともよい交流を持つ傾向にあり、その結果より多くの観客を満足させることができるからだ。

 つまり「満足度の高い(やる気のある)従業員が集まる→よい顧客(観客)接点・サービスを生み出す→顧客(観客)満足・ロイヤルティが高まる→来場者数がさらに増える→経営状況がさらによくなる→その結果職場環境・報酬レベルがあがる→満足度の高い従業員→よい顧客(観客)接点・サービスを生み出す(続く)」というグッドサイクルが生じるのである。

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