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王者格差時代に求められる
「希少価値」と「付加価値」。
~IBF、WBO加盟で拍車がかかる!?~ 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph byBOXING BEAT

posted2013/02/26 06:00

2度目の防衛戦で赤穂を破った佐藤洋太(左)。次戦は春にタイ人選手の挑戦を受ける予定だ。

2度目の防衛戦で赤穂を破った佐藤洋太(左)。次戦は春にタイ人選手の挑戦を受ける予定だ。

 昔はどの階級の世界チャンピオンが誰であるかを知らないのは、ボクシング専門誌の記者にとって恥ずべきことだった。しかし、今では全部を諳んじている方が稀といっていいだろう。記者も覚えきれないほど、世界チャンピオンの人数が増えたからである。

 階級が細分化され、認定団体が増え、倍々ゲームで王者の数は膨れ上がった。さらに最近は同一団体同一階級に正規王者の他に、暫定王者やらスーパー王者、休養王者までいる。マイナー団体も含めればその数は100近い。しかもこれがしょっちゅう変わるのだから、記憶している暇もないというわけだ。

 その結果、ベルトを巻いてもひと財産残すほど稼ぐのはほんのひと握りで、最近は世界王者でもアルバイトを続ける選手さえいる。これもチャンピオンの「希少価値」を守る努力を怠った業界の自業自得とはいえ、当の貧しいチャンピオンたちは気の毒というしかない。

WBC現役王者・佐藤洋太ですら副業を続けている現状では……。

 そんな中、「今の自分は真の王者ではない。統一戦をやりたい」と強く訴えているのが、WBC世界S・フライ級王者の佐藤洋太だ。徳山昌守型の変則頭脳派は大晦日のV2戦で赤穂亮を終始翻弄して完勝し、本領を発揮したばかり。もっと注目されてもいい選手だが、今もガソリンスタンドで副業を続けている。

 同階級では河野公平がWBA王座に就き、統一戦が期待されるのだが実現するとしてもまだ先の話。前王者側にオプション(興行権)を握られる佐藤は、もう1試合勝たないと自由の身になれないのだ。

 そんな中、チャンピオン間の「格差」をさらに広げそうな決定がなされた。

 日本は長らくWBAとWBCの2団体のみに加盟してきたが、世界の趨勢には逆らえず、早ければ今春からIBFとWBOの2団体への加盟も認めることになるのだ。王者乱立で批判を浴びることを懼れたのか、日本プロボクシング協会は「日本、東洋、世界いずれかの王者、または元王者でなければ王座に挑戦できない」との内規を用意したが、海外挑戦は適用外だから、いわば緩い自主規制だ。

 2月12日時点で日本の世界王者は8名。今後はただの世界チャンピオンでは待遇も保障されず、複数のタイトルを同時に保持するなどの「付加価値」なくしては評価されなくなるかもしれない。

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