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DeNA陸上部誕生に見る、
企業スポーツの存在意義。
~エスビー食品の名門チームを継承~ 

text by

小川勝

小川勝Masaru Ogawa

PROFILE

photograph byAFLO

posted2013/01/29 06:00

会見に臨む守安社長と瀬古総監督、ベイスターズ中畑監督(左から)。

会見に臨む守安社長と瀬古総監督、ベイスターズ中畑監督(左から)。

 廃部の決まっていた名門、エスビー食品の陸上競技部を、ベイスターズのオーナー企業、DeNAが引き受けることになった。陸上界では過去に例のない、IT企業の大々的な進出が、どのような可能性を秘めているのか考えてみたい。

 明らかになっているDeNA側の条件は、'01年以来休止していた実業団駅伝に再び参戦すること。それ以外の活動は、まだ発表されていない。

 エスビー食品にとっては投資価値を見出せなくなった長距離チームのどこに、DeNAは価値を見出したのだろうか。それは会社の公式声明からいくらか読み取ることができる。

「アスリートと一般の方々と触れ合う機会を創出し、広くスポーツの普及発展に貢献する活動に努め(略)社会参加に取り組んでいきます」

 まず、重要なキーワードは「貢献」だ。DeNAの本業であるソーシャルゲーム業界は昨年、未成年者への高額請求問題から、年齢別の利用限度額を自主的に設けた。未成年の子供を持つ親にとってイメージのいい業界とは言い切れない。スポーツ界への貢献によって、イメージを一新したい思いがあるはずだ。

ランニング教室は、新たな顧客層との出会いの場に!?

 もう一つのキーワードは「一般の方々と触れ合う」という部分。具体的にはランニング教室による市民ランナーとの触れ合いだ。DeNAにとってこれは様々な可能性を秘めている。というのも、現在のランニングブームは、新たな市場を開拓するチャンスになるかも知れないからだ。

 ランニングブームは、'07年の東京マラソン創設以降、ケタ違いの勢いで拡大している。東京マラソンは応募が30万人を超え、'11年から始まった大阪マラソンも昨年の応募は15万5482人、'87年に約400人の出場で始まった北海道マラソンも、昨年は1万243人で行なわれている。

 ソーシャルゲームの顧客は20代、30代が中心で、未成年には利用限度額があることを考えると、今後成長していくには40代以上の年齢層にもアピールしていく必要があるだろう。

 東京マラソンを見ても分かるが、市民ランナーには40代以上が多い。ランニング教室は、DeNAにとって新たな顧客層との出会いの場になり得る。瀬古利彦・総監督は40代以上への知名度が抜群だから、ランニング教室にもこの年代が集まるはずだ。マラソンや駅伝に題材を取ったゲームの開発も考えられる。いずれにしても、市民ランナーをゲーム業界の新たな顧客として取り込む可能性が開けるだろう。

<次ページへ続く>

【次ページ】 選手や監督に求められる新たな姿勢とは?

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