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ロジャーとバリーを許せるか。
賛否分かれた殿堂入り投票。
~MLB薬物問題への疑念は晴れず~ 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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posted2013/01/24 06:00

ロジャーとバリーを許せるか。賛否分かれた殿堂入り投票。~MLB薬物問題への疑念は晴れず~<Number Web> photograph by AFLO

昨夏、独立リーグのスキーターズで現役復帰したクレメンス。50歳ながら142kmを記録した。

 今年度の殿堂入り投票結果が1月9日に発表され、選出ラインの得票率75%をクリアする資格者が不在という事態になった。該当者なしは1996年以来17年ぶりのことだが、今回の結果は、ある程度、予想されたものだった。というのも、今回は「薬物疑惑世代」のビッグネームが一斉に有資格者となったため、彼らへの見解を巡って投票が分散すると見られていたからだった。

 もっとも注目されていたのは、通算354勝、サイ・ヤング賞7回のロジャー・クレメンスと、メジャー最多本塁打の762本を記録したバリー・ボンズの2人だった。いずれも球史に残る輝かしい実績を残した一方で、ステロイドなどの禁止薬物を使用した疑いから政府の公聴会などに出廷し、その際の偽証罪などで裁判にもつれ込んだ。

 その後、クレメンスは有罪とならなかったものの、「グレー・ゾーン」はクリアにならず、殿堂への投票権を持つ全米野球記者協会(BBWAA)の記者の間でも、賛否は真っ向から分かれていた。実際、クレメンスは得票率37.6%、ボンズが同36.2%。選出ラインの半数の得票にとどまったように、依然として殿堂への道が険しいことに変わりはない。

「薬物禍」の煽りを食ったクレイグ・ビジオの選考漏れ。

 本来、クレメンス、ボンズの力量、技術からすれば、「薬物疑惑」がなければ、間違いなく有資格1年目で殿堂入りするはずだった。クレメンスがヤンキース在籍時に監督だったジョー・トーリ(現MLB機構副会長)は、今回の投票結果に対し、無念さを隠さなかった。

「薬物問題に関しては、誰もが認識していることで、今回の結果は悲しむべきことだと思う。ただ、クレメンス、ボンズにしても、彼らは殿堂に入るべき選手であることは間違いない。いつの日か、これらの問題を超越して、前に進むことを願いたい」

 その一方で、通算3060安打を放ち、今年度初めて有資格者となったクレイグ・ビジオが、最高得票となる68.2%を集めながら選考漏れした事実も見逃せない。もし「薬物禍」の選手が不在で投票が分散されていなければ、間違いなく選出されていた実力者。クレメンス、ボンズらへの処遇が明確にならないことで、他の候補者に影響を与えてしまうのであれば、なんともやり切れない。

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