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ブックディレクター幅允孝が
選ぶ2012年の印象的な6冊。
~年末に読みたいスポーツ本~
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph bySports Graphic Number
posted2012/12/14 06:00
ブックディレクター幅允孝さんが選んだ、今年のスポーツ本で印象深かった6冊。左上から時計回りに『THE green soccer journal』、『カーボン・アスリート 美しい義足に描く夢』、『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』、『馬語手帖 ウマと話そう』、『レ・ブルー黒書 フランス代表はなぜ崩壊したか』、『覚悟 理論派新人監督は、なぜ理論を捨てたのか』。
サッカー、馬、義足……それぞれに興味深い側面が。
『THE green soccer journal』 (No.4 Autumn Winter 12/13)
「2010年にロンドンで創刊したサッカー雑誌でこれが4号目。今回の表紙はパトで彼のインタビューも掲載されているのですが、この雑誌が凄いのは選手も監督もファンも、ビッグクラブも3部のチームも同列に扱っていること。スタジアムでモデルのヌード撮影みたいなセクシーなシーンがあったりして、かなりぶっとんでいるけど、サッカーのあらゆる側面を映し出していて非常に面白いです」
『馬語手帖 ウマと話そう』 (河田桟著 カディブックス)
「馬を使ったスポーツはたくさんありますが、この本は馬という動物をどう理解するかというのを初心者に向けて発信しています。まず馬は人間のようには考えないというところからスタートして、“馬感覚”を絵と解説で理解する。読後は僕も馬と話せるような気になれました。パドックでの馬の様子を見て馬券を買うという人も、同じような感覚で馬を見るのでしょうね。与那国島の小さな出版社が出した本ですが、版を重ね、隠れたベストセラーにもなっているようです」
『カーボン・アスリート 美しい義足に描く夢』 (山中俊治著 白水社)
「北京パラリンピックで100、200、400m金メダリストのオスカー・ピストリウスという義足のランナーを見て感動したプロダクトデザイナーの山中さんが、日本一の義肢装具士と言われる臼井さんとともに新しい義足を作っていくプロセスが綴られています。彼らが義足に何を込めようとしていたのか、身体障害者のスポーツがどう成り立っているのかということの根本的な部分が道具作りから浮かび上がって、とても興味深いです」