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驚愕の超大型トレードが
球界の常識を変える。
~ドライかつ奥深い、MLBの流儀~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2012/12/11 06:00

驚愕の超大型トレードが球界の常識を変える。~ドライかつ奥深い、MLBの流儀~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 今季、優勝争いから早々と脱落したブルージェイズとマーリンズの間で、大規模なトレードが成立した。ブルージェイズが盗塁王3回の遊撃手ホセ・レイエス、先発左腕マーク・バーリー、快速右腕ジョシュ・ジョンソンら5選手を獲得し、若手選手7人を放出。ここ数年、動きが遅い傾向のあったオフ市場で、早い時期に大物選手が動いたトレードに、球界関係者も驚きを隠せなかった。

 今回の大型トレードが反響を呼んだのは、昨オフにFAで移籍しながら、わずか1シーズンでトレードされたバーリーが「オレはマーリンズにウソをつかれた」と、球団批判したからだけではない。また、コミッショナーのバド・セリグ氏が、球団解体に着手したマーリンズのオーナー、ジェフリー・ロリア氏の経営方針を追及したからでもない。

 何よりも、複数年の大型契約が残っている主力選手がまとめて放出され、それら多額の資金を負担してまで受け入れるトレードが、再び具現化したことにあった。実際、マーリンズは総額1億4650万ドル(約117億円)の年俸削減に成功。新球場オープンに伴い、大型補強を敢行した昨オフから方針を一転させた。

長期大型契約の選手を“セット売り”にすれば、交渉がまとまる!?

 これまで球界の常識では、長期の大型契約を結んだ選手の移籍は極めて困難なことだった。旧球団が年俸の一部を負担する条件が付くとはいえ、新球団にとってはあまりにリスクが高い。2004年にアレックス・ロドリゲスがレンジャーズからヤンキースに移籍した個別の例などはあるものの、複数選手の大型トレードはまとまりづらいと言われてきた。

 転機となったのが、今年8月末、レッドソックスがゴンザレス、ベケット、クロフォードら長期契約の主力をドジャースに放出したトレードだった。ゴンザレス獲得に熱心だったドジャースに対し、レッドソックスは「不良債権」になり得る高額選手をセットにして交渉をまとめた。ある意味で新しい形のトレード方法が実現したことで、大型移籍が実現する基盤ができあがった。

 裏を返せば、1対1では無理でも複数ならば成立するというパターンで、今回のブルージェイズのケースも同様と言われる。ドラスティックにチームを変えようとする米国の野球ビジネスは、実にドライで、かつ奥が深い。

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