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8人の“給料泥棒”。
~高年俸で期待外れの大リーガー~ 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byGetty Images

posted2012/12/19 06:00

8人の“給料泥棒”。~高年俸で期待外れの大リーガー~<Number Web> photograph by Getty Images

メジャー歴代5位の本塁打数、リーグMVPに3度選出など実績十分のA・ロッド(ヤンキース)だが、今季はその実績、年俸に見合う働きをまったく出来ず。ニューヨーク・ポスト紙が行なったファンへのアンケートでは、8割が放出を望むという結果になった。

 米大リーグの年俸高騰は、野球ファンにとって、もはや驚くようなニュースではない。'01年1月、アレックス・ロドリゲス(現ヤンキース)が10年総額2億5200万ドルの契約を交わして以来、米大リーグの最高年俸は2000万ドルを超える時代に突入した。

 それでも、10年前の'02年、年俸2000万ドルを超えていたのはロドリゲスだけだった。今年の年俸ランキングでは、これが14人に増えている。1ドル80円で計算しても、2000万ドルは16億円だ。月給50万円の社員なら267人雇うことができる金額だ。

NFLやNBAと違い、妥当な年俸相場が分かりにくいMLB。

 10年前と比較すれば、米大リーグの収入は増えている。インターネットの普及でチケットをずっと効率的に売れるようになったし、日本人選手の増加で、テレビ放映権収入やスポンサー収入も上がっている。新球場が次々に完成して観客を引きつけ、チケット価格を上げても売れる状況が続いている。収入が増えているなら、選手の年俸相場が上がっても不思議はない。

 だが、その一方で、米大リーグにはサラリーキャップ(年俸総額制限)制度がない。また、球団の経営データも詳細が公開されていないため、妥当な年俸相場が分かりにくいのも事実だ。NFLやNBAなら、リーグ全体の総収入が出てくれば、そこから選手年俸に当てるパーセンテージが労使協定で決まっているため、選手年俸の総額というのは算出できる。その金額から、ある程度妥当な年俸相場も見えてくる。しかし米大リーグでは、選手年俸の総額が決まっているわけではないので、トップ選手たちの年俸2000万ドルが妥当かどうか、客観的に判断することはできない。判断できるのは、そういった高額年俸の選手たちが、それに相応しく、トップクラスの成績を上げているかどうかだけだ。

打点数は全体で126番目、守備面での貢献度も高くないAロッド。

 その意味では、今年はかつてなかったほどに、レベルの低いシーズンだった。2000万ドルを超えている14人の中で、別表に示した8人の選手が、年俸に相応しい成績とは言えないものに終わっているのである。

●'12年米大リーグ 年俸2000万ドル以上で成績が振るわなかった選手
選手名
(所属)
位置
年齢
年俸 '12年成績
アレックス・ロドリゲス
(ヤンキース)
内野
37歳
3000万ドル
(24億円)
122試合  .272  本18  点57
出塁率.353  OPS.783
バーノン・ウェルズ
(エンゼルス)
外野
33歳
2419万ドル
(19.4億円)
77試合  .230  本11  点29
出塁率.279  OPS.682
ヨハン・サンタナ
(メッツ)
投手
33歳
2315万ドル
(18.5億円)
21試合  117回  QS48%
6勝9敗  防4.85
マーク・テシェイラ
(ヤンキース)
内野
32歳
2313万ドル
(18.5億円)
123試合  .251  本24  点84
出塁率.332  OPS.807
クリフ・リー
(フィリーズ)
投手
34歳
2150万ドル
(17.2億円)
30試合  211回  QS70%
6勝9敗  防3.16
カール・クロフォード
(レッドソックス)
外野
31歳
2036万ドル
(16.3億円)
31試合  .282  本3  点19
出塁率.306  OPS.785
ロイ・ハラデー
(フィリーズ)
投手
35歳
2000万ドル
(16億円)
25試合  156回  QS60%
11勝8敗  防4.49
ライアン・ハワード
(フィリーズ)
内野
32歳
2000万ドル
(16億円)
71試合  .219  本14  点56
出塁率.295  OPS.718
※OPS=出塁率+長打率。QSは6回以上を投げて自責点3以内の先発投手。年齢はシーズン終了時。年俸の1万ドル未満は四捨五入

 今年も全体の最高年俸3000万ドル(約24億円)だったロドリゲスは、122試合の出場で打率.272、18本塁打、57打点。クリーンアップの打者として期待される打点は、米大リーグ全体で126番目の成績に過ぎなかった。強打者の総合的な指標であるOPS(出塁率+長打率)も「.783」で68番目。122試合のうち三塁の守備についたのは81試合、あとはDHか代打での出場だったから守備面での貢献度も高くない。

【次ページ】 年俸はM・ジョーダン級だが、今年の成績では……。

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