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出直しの地で大奮闘。
清水直行の「変身」。
~横浜先発陣の柱に~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph bySPORTS NIPPON

posted2010/06/18 06:00

打たせて取る投球術でソフトバンクを6安打完封。交流戦では6年連続の勝利となった

打たせて取る投球術でソフトバンクを6安打完封。交流戦では6年連続の勝利となった

「ロッテ時代と違って、一球一球に魂が入っていた」と、ソフトバンク・秋山幸二監督を脱帽させたのは、5月25日、同チームを相手に635日ぶりの完封勝利を挙げた、横浜・清水直行である。

 昨年オフ、球団社長が交代し、新体制となった横浜は、大幅な選手の入れ替えを行なった。ロッテから来た清水もその一人。エース・三浦大輔が出遅れ、寺原早人が故障、開幕投手のランドルフが勝てないまま二軍落ち、という横浜先発陣の中にあって、唯一、ゲームを作っている。交流戦に際し、パ・リーグの先乗りスコアラーも、「広島の前田健太、中日の吉見一起、横浜の清水に当たったら運が悪いと思え」と言っていたほどだ。

石川晃ロッテ副代表が明かした複数トレードの意図。

 清水はロッテに10年間在籍し、93勝。それだけに、トレード話が持ち上がった時には、「エースを張ってきた俺がなぜ」という戸惑いがあった。横浜移籍後のキャンプでも「もう思い出したくない」と漏らしていた。ただ、那須野巧らとの複数交換トレードの意図を、ロッテの石川晃副代表はこう語っている。

「両者に、いい方向を見つけ出そうとした。清水は、公私に渡って新展開をさせた方がまだまだ伸びしろが出ると思った」

 実は、パの各チームは、清水の多彩な変化球や微妙なストライクゾーンの球の出し入れを見破り、手を出さないケースが多くなっていた。だが、セの打者にはそのパターンが読まれていない。だから、十分通用する。また、私生活でも、夫人の死という苦しい思いをロッテで引きずるよりも……そんな配慮があったと聞く。新天地・横浜は、清水にとって、格好の出直しの場になった。

ふたたび頭を持ち上げてきたメジャー志向。

 ロッテ時代の背番号18は、横浜では三浦がつけていたため、17に変更。「背番号も変わったことで、気持ちの整理ができた」と語った清水は、キャンプで投げ込みを重ねる三浦と同じように投げ込んだ。その結果、下半身が鍛えられ、変化球のキレが戻った。6月10日現在、チームトップの6勝。通算100勝にあと1勝と迫ったのである。

 これまで封印してきたメジャー志向も、ふたたび頭を持ち上げてきた。ロッテの好調ぶりについては、「自分がいなくなって好成績は、正直、面白くない。だから、『清水が来て、横浜が変わった』と言われたい」とキッパリ。こんな前向きの清水、久しぶりに見た。

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