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才能を確実に伸ばす、
バドミントン界の“秘策”。
~将来有望な若手に「背伸び」を~ 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAP/AFLO

posted2012/11/20 06:00

才能を確実に伸ばす、バドミントン界の“秘策”。~将来有望な若手に「背伸び」を~<Number Web> photograph by AP/AFLO

五輪、世界選手権に次ぐスーパーシリーズのフランス・オープンで初優勝した三谷美菜津。

 五輪競技の選手は、オリンピックをひとつの区切りに競技人生を組み立てている。だから、オリンピックが終わるとともに引退する選手も多い。そして世代交代が促される。

 バドミントンもそうだ。潮田玲子が引退し、ロンドン五輪で銀メダルを獲得した藤井瑞希と垣岩令佳のペアも、藤井が日本代表から退くことを決めた。

 第一人者たちがいなくなるのは、次の世代の選手にとっては好機でもある。それを裏付けるように、このところ、若手選手の活躍が目立っている。21歳の三谷美菜津は、スーパーシリーズの一つ、中国マスターズで元世界ランキング1位の中国の選手を破りベスト8入りを果たした。続くフランス・オープンではロンドン五輪銅メダリストに勝利し優勝。同シリーズのシングルスでは日本初のことだ。

 また、10月23日から千葉市で行なわれていた世界ジュニア選手権の団体戦(男女混合)では、ともに高校3年生の奥原希望、桃田賢斗らの活躍で決勝に進出。惜しくも世界一のバドミントン王国である中国に2勝3敗と競り負けはしたが、やはり日本初のメダル獲得。内容面も十分評価に値するものであった。

実業団とナショナルチーム双方で、上の環境を意識させる仕組み。

 バドミントンで若い世代の選手が台頭してきている背景には、常に「上のカテゴリー」を意識させる仕組みがある。

 例えば、2004年、実業団チームに内定している現役高校生の日本リーグ出場が認められ、いち早く高いレベルでの実戦を経験できるようにした。その後には、ナショナルチームの下にバックアップチームを創設。次代を見越し、中学、高校生の有望選手も選出し、ナショナルチームとともに強化を図ってきた。

 現時点の実力より上の環境に身を置くことで得られる効果は、高度な技術を学び、経験を積むことができることだけにとどまらない。

 ユース世代の指導者の一人はこう語る。

「ロンドンでの銀メダルを見て、高校生らは『すごい』と思うよりライバル意識を燃やしていた。そういう意識の高さが伸びる要因だと思います」

 つまり、ひとつ「背伸び」をさせることが、今日につながっている。そしてそれは、4年後のリオデジャネイロ五輪へと、順当に再スタートを切ったことをも意味している。

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