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<独占インタビュー> 藤原新はなぜ、五輪で失速したのか 

text by

金哲彦

金哲彦Tetsuhiko Kin

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photograph byMami Yamada

posted2012/10/11 06:01

<独占インタビュー> 藤原新はなぜ、五輪で失速したのか<Number Web> photograph by Mami Yamada
東京マラソンで2時間7分48秒の2位、終盤で前世界記録保持者の
ハイレ・ゲブレシラシエを抜き去るという圧巻の走りを見せた藤原新。
誰もが五輪での活躍を期待したが、結果は45位と惨敗。いったい
彼に何が起こったのか?

好評発売中の雑誌Number Do『秋のランニング特集 忙しい人ほどよく走る!~あの人はいつどうやって走っているのか?~』より、独占インタビューを公開します。

 オリンピックという人生最大のレースに向けて、東京マラソンからの半年を藤原君はどう組み立てていったんだろう?

「とにかくメダル狙ってました。今さら言うのも、っていう気もしちゃうんですけど(笑)」

 自信はあったよね?

「普通に走れば2時間10分は切れる。五輪で10分を切るっていうのはメダル圏内なんです。そこから先どうするかっていうと、アフリカの選手と同じくらいの強さが必要になってくる。問題は暑さ。暑いとそんなに質を上げられないんですよ。それで自分をより追い込むためにレースを利用したっていうのがありました。東京の後もハーフとかレースに出てたのは、とにかくより負荷を与えていきたかったから。

 大会に出るときは基本的には日本人1位っていうのが念頭にありました。実業団のケニア人とかにも全部には勝てなかったけど、5人中2人には勝つとかそういうレースが続いたんで、こうやって負荷をかけていけば失敗はないだろうと思ってました」

良くないフォームでも走れる体ができてしまったゆえの、落とし穴。

 でも、負荷を与えると体はダメージを受けるよね。それに対するケアは?

「正直、ダメージっていうのはほとんど受けない体になっていたんです。疲労があるときは、一時的に筋肉とか血液の状態が悪くなるのと同時にフォームが悪くなりがち。悪いフォームから抜け出せないのが疲労が続く状態だっていうのが僕の認識なんです。

 調子っていうのはフォームのことなんですよ。今、6という調子だとしても動きがアジャストできれば10になる。フォームを綺麗に戻してあげることができれば、疲労はあっても計算通りの疲労で、今日走ったら明日疲れがガツンと出て明後日には抜ける。負荷を繰り返すことで体が本当に強くなるのは発見でしたね」

 オリンピックを前に体は相当、強くなっていたんだ。

「でも、逆にいうと、体力がありあまっているときは効率的な動きができてなくても前に進めるんです。今回のロンドンでの落とし穴っていうのは、いいフォームじゃなくてもいいタイムで走れちゃう体ができてたっていうことだと思ってます。それがレースで修正が利かなかった原因じゃないのかな、と」

【次ページ】 東京マラソンの成功体験が、ある意味で仇となった。

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