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相次ぐ名門の休・廃部。
競技を続けるカギとは。
~企業がスポーツに投資する意義~ 

text by

小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byKYODO

posted2012/10/17 06:01

相次ぐ名門の休・廃部。競技を続けるカギとは。~企業がスポーツに投資する意義~<Number Web> photograph by KYODO

 エスビー食品の陸上、そしてパナソニックのバスケットボール、バドミントンと、歴史ある企業スポーツの名門が、相次いで今季限りの休・廃部を明らかにした。来季以降、所属選手がどうなるのか、現時点では分かっていない。

 どちらも経営合理化の一環としての休部だが、背景は異なっている。エスビー食品からは「厳しい経営環境下」という説明があったものの、売り上げは過去3年間、1150億円前後で安定している。しかし利益が減っていたことは事実で、経営改善にはコスト削減が必要だったのだろう。それでも、銀行から再建計画を要求されるような経営危機に陥っていたわけではない。'11年世界選手権、'12年ロンドン五輪と代表選手を出せなかった陸上部の存在価値が、社内で低下したと考えるのが自然だ。

 一方、パナソニックの休部は、世界市場における容赦ない競争の結果だ。テレビ部門で韓国企業との競争に敗れたことが主な原因となって、今年3月期に7721億円という創業以来の大赤字を計上。大ナタが必要になり、約7000人いる本社社員の大幅な人員削減も取り沙汰されている。2つの休部はその一環だ。

卓球の平野、アーチェリーの蟹江を支えたミキハウスの好例も。

 バブル経済が崩壊した'90年代以降、企業スポーツは減少傾向にある。それでも、企業がスポーツへ投資することに関心を失ったわけではない。存在意義が明確なら、話は違ってくる。ミキハウスは比較的マイナーな競技ばかり支援しているが、ロンドン五輪には5人の所属選手が出場。卓球の平野早矢香、アーチェリーの蟹江美貴という2人のメダリストが誕生した。社員430人の小所帯だけに、応援は全社一丸の熱狂的なものになり、士気高揚、社員への福利厚生として機能していて、スポーツ選手の存在意義がはっきりしている。

 大企業では、こういった明確な存在意義を、なかなか確立しにくい。

 エスビー食品もパナソニックも、国内での知名度は十分に高いため、スポーツで社名が露出するメリットもほとんどない。苛烈な価格競争を勝ち抜くには、メリットがはっきりしないコストは削減せざるを得ない、というのが企業の論理だ。

【次ページ】 個人競技、プロチームそれぞれの成功へのカギとは?

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