フットボール“新語録”BACK NUMBER
ロシアでJリーグの人気が上昇中!?
記者が語る“エキゾチック”な魅力。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byAFLO
posted2012/10/05 10:30
諦めずに走るサッカーで、今季一時首位にも躍り出たベガルタ仙台。ボールを奪ってからの素早いカウンターで、得点を重ねた。
「Jリーグは、ピッチにいる全員が最後まで諦めない。それが大きな魅力だと思います」
アントン・チギョリョフ(ロシア人記者)
外国に足を運ぶと、ときに自分がまったく持っていなかった視点に出会うことがある。
今回、本田圭佑の取材のために、モスクワを訪れたときのことだ。ロシアで新たに立ち上げられたインターネットラジオ、『スタジオ・スポーツ』のアントン・チギョリョフ記者と話していると、驚くべきことを聞かされた。
ロシア版フェイスブック『Vkontakte』に、Jリーグのファングループがある、と。
アントン記者は言う。
「『Vkontakte』はロシア語圏の人が使うソーシャルサイトなんですが、その中にJリーグのニュースをフォローするグループがあって、257人が登録しています。すべて調べたわけではないですが、言語はロシア語なので日本人はいないと思います。僕がよくやり取りしているのは、ノボチェルカッスク在住の男性。彼は1度も日本に行ったことがないんですが、TVでJリーグの試合を見てファンになったそう。他にはウクライナ人もいますよ」
現在、ヨーロッパでは『EUROSPORT』というチャンネルでJリーグの試合が放送されている。またインターネットでは、違法のようだが試合をライブでチェックすることもできるらしい。そういう機会を通して、ノボチェルカッスク在住の男性はJリーグに魅了されたのだ。
テレビゲームをきっかけにグランパスのファンになる。
アントン記者の場合、父親のお土産がきっかけだった。
アントンは父親が外務省の役人で、1歳から6歳までロシア大使館がある六本木に住んでいた。ロシア帰国後も父親が日本に出張することがあり、あるときJリーグのTVゲームをお土産として買ってきた。アントンは名古屋グランパスのエンブレムを気に入り、グランパスファンになった。
アントンはモスクワ大学に入学して日本語を専攻。そして2008年から1年間日本に留学し、グランパスの試合に通うようになった。アウェーまで熱心に行くため、ゴール裏のコールリーダーにも顔を覚えられた。日本を去る最後の試合では、メガホンを持ってサポーターにお別れの挨拶をしたほどだ。
今、アントンが最も見るのはロシアリーグで、その次がJリーグだという。アルシャビンがアーセナルに移籍したときはプレミアリーグを見ることもあったが、それでもJリーグの方がいいらしい。