SCORE CARDBACK NUMBER

“超人”ハワードの獲得で
レイカーズの将来は安泰か。
~コービー後を見据えた戦略~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2012/09/18 06:00

現役最高のセンターと謳われる実力とともに、ムードメーカーとしてもスター性抜群のハワード。

現役最高のセンターと謳われる実力とともに、ムードメーカーとしてもスター性抜群のハワード。

 労使紛争に明け暮れた昨オフから一転、通常営業に戻った今夏のNBAでは、例年にも増して移籍市場が賑やかだった。そして、その話題の中心にあったのがロサンゼルス・レイカーズだ。特に、8月にドワイト・ハワードを獲得したことは今オフ最大のニュースだった。

 7月には、オールスターに8回も選ばれ、リーグMVPを2回受賞した名ポイントガード、スティーブ・ナッシュもレイカーズ入りしている。コービー・ブライアント、パウ・ガソルにこの2人を加えたラインナップは、そのままオールスターに出られるほど豪華だ。ポジションのバランスもよく、一躍、次シーズンの有力優勝候補に躍り出た。

 もっとも、このトレードでレイカーズが達成したのは、短期的な優勝狙いだけではない。そのことは、トレード成立後にブライアントがしみじみ語った言葉に表れていた。

「僕が去った後にフランチャイズを支えられる選手を獲得できた。レイカーズの将来を考えても、本当に嬉しい」

コービーも「いつでも重大で、賢いビジネスの選択をする」と絶賛。

 NBAで8年の経験を持つハワードは、その間にオールスター6回出場、リーグの最優秀ディフェンス賞3回受賞の実績があるスーパースターだ。しかもまだ26歳と若い。ハワード獲得のために放出したアンドリュー・バイナムも成長株の若手とはいえ、ブライアント後のチームを託すには物足りなかった。その点、ハワードなら問題ない。ブライアントの言葉は、そんな安堵感に溢れていた。

 ドラフトやサラリーキャップの規定が厳しい今のNBAで、チームの世代交代は簡単なことではない。チームを支えてきた選手を早々に手放して再建への道を歩むか、引退後の低迷期を我慢して次の大黒柱が現れるのを待つか。どちらにしてもゼロからの再建が常だ。

 しかしレイカーズは「今」を捨てることなく、チームを担うスター選手と決別することなく、世代交代を達成した。ブライアントのキャリア晩年に、優勝を狙える戦力をキープしながら、次の大黒柱を確保したのだ。このフロントの手腕には、ブライアントも「いつでも重大で、賢いビジネスの選択をする」と絶賛だ。

 リーグ2位となる16回の優勝を誇るレイカーズ。名門の名門たるゆえんが垣間見えた夏だった。

関連コラム

ページトップ