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ジェレミー・リンの熱狂は
ロケッツでも再現なるか。
~ニューヨークでのブーム、その後~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byGetty Images

posted2012/10/09 06:00

ジェレミー・リンの熱狂はロケッツでも再現なるか。~ニューヨークでのブーム、その後~<Number Web> photograph by Getty Images

リンは昨年末、入団するもすぐに解雇されたロケッツに好条件で凱旋復帰する形となった。

 今年2月、NBA中を沸かせた“リンサニティ(リン旋風)”は、ある意味、純粋に夢物語だった。何しろ、それまでほとんど試合に出られず、無名に近かった台湾系アメリカ人のジェレミー・リンが、ちょっとしたきっかけで大都市の老舗チーム、ニューヨーク・ニックスのスターティング・ポイントガードを任され、あれよあれよと言う間にチームを7連勝に導いたのだ。その間のリンは神がかり的な活躍で、7試合中6試合で20点以上をあげ、決勝のブザービーターも沈めた。ニックスの救世主と呼ばれ、非現実の御伽噺の世界の登場人物のように祭り上げられた。

 実際にはその後、6連敗を経験するなどうまくいかない時期もあったのだが、3月下旬にリンの故障という形で強制的に終止符が打たれたこともあり、白黒はっきりした結論がないまま、夢のような“リンサニティ”体験として人々の記憶に留められた。

現実を見せつけられた夏を経ても、「神に栄光をもたらしたい」。

 そんな昨季の出来事が夢物語だとしたら、夏の間の出来事は“現実”だった。制限付フリーエージェントになったリンは、ヒューストン・ロケッツから3年2500万ドルの高額オファーを受けた。ニックスは同条件を出せばチームに引き止めることができたのだが、最終的に再契約を断念。その裏では金銭やチームの思惑が絡んだ駆け引きがあり、元チームメイトの妬みのようなコメントもあり、きれいごとだけではない現実を見せつけられた。“リンサニティ”を夢物語として祭り上げた歪みが噴出したとも言える。

 ロケッツに移ったリンにとって、今シーズンは正念場だ。相手チームから徹底マークされる中で、昨季の活躍がまぐれでないことを証明しなくてはいけない。しかも高額で契約した代償で、周囲の目が一層厳しくなるのは間違いない。

 それでも、リンはすべてをチャレンジと受け止めていると言う。昨季のような過剰な騒動は望まず、単純に限界に向けて成長することが目標なのだとも言う。

「いつでも僕を疑う人はいる。でも、僕が本当にやりたいのは、自分の可能性を最大限に発揮すること。そうすることで、神に栄光をもたらしたいんだ」と敬虔なキリスト教徒の彼は言う。「自分を嫌ったり、疑う人の存在以上に、それが僕のモチベーションになっているんだ」

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