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エース温存という苦渋の決断――。
東海大甲府の夢を砕いた“過密日程”。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2012/08/22 18:45

エース温存という苦渋の決断――。東海大甲府の夢を砕いた“過密日程”。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

泣きじゃくる仲間の肩を抱きかかえる東海大甲府のエース神原(写真中央)。この日は、7回から登板するも9回表に3ランホームランを被弾。最後の夏は終わったが、「プロを目指したい。上で活躍できる投手になるために必死で練習する」と力強く語った。

 わずか「1試合」のズレが、大会14日目にあたる準決勝まできて、大きな差となって表れた。

 ベスト4入りしたチームの内、東海大甲府(山梨)だけがすでに4試合を消化していた。つまり、1回戦からの登場だったわけだ。

 光星学院(青森)との試合を前に、東海大甲府の指揮官、村中秀人はこう語っていた。

「他より1試合多いぶん、打線は充実しています。ただ、投手陣の疲労度は濃い。それが今日、どう出るかですね」

 ともに初戦は大会5日目だった。東海大甲府が第2試合、光星学院は第3試合に組み込まれていた。だが、この2試合の間に、ちょうど「1回戦登場」と「2回戦登場」の境目があるのだ。

 しかも、トーナメント形式の性格上、早く登場すればするほど次の試合まで間隔が空く。つまり、この試合は、1回戦から登場した中で最も試合間隔が詰まっていたチームと、2回戦からの登場で最も試合間隔にゆとりがあったチームの対戦でもあったのだ。

準々決勝からの連戦で、東海大甲府はエース神原の先発を回避。

 さらに、再抽選となった準々決勝以降の日程でも明暗が分かれた。

 東海大甲府は、準々決勝から決勝まで3連戦になるという、最もきつい日程を引いた。一方、光星学院は準々決勝と準決勝の間が1日空く日程を引いた。

 この日までの日程を見比べると、両チームのスケジュール的な有利不利は明らかだ。

 東海大甲府は、「5日目(1回戦)」、「9日目(2回戦)」、「11日目(3回戦)」、「13日目(準々決勝)」と経て14日目を迎えた。

 対する光星学院の14日目までの日程は、「5日目(2回戦)」、「10日目(3回戦)」、「12日目(準々決勝)」である。

 準々決勝からの連戦となった東海大甲府は、エースの神原友が前日、作新学院戦で168球を投げて完投していたこともあり、登板を回避せざるを得なかった。

 村中は、この日の先発マウンドを背番号「10」の本多将吾に託した。

「本多が5回まで3点ぐらいでしのいでくれたらいいんですけど」

 だが1回表に、光星学院の2枚看板、3番田村龍弘のレフト前へのタイムリーと、4番北條史也のツーランで、いきなり3点を失ってしまう。

【次ページ】 「神原君が先発した方が嫌でしたね」と光星学院監督。

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