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オリックス逆襲のキーマン、
木佐貫洋を変えた“一言”。
~寺原がくれた、復調のきっかけ~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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posted2012/08/17 06:00

オリックス逆襲のキーマン、木佐貫洋を変えた“一言”。~寺原がくれた、復調のきっかけ~<Number Web> photograph by KYODO

7月25日、楽天を相手に完投で通算50勝達成。8月7日にも楽天打線を9回無失点に抑えた。

「休んでいた分、働いてもらわんといかんからな。これからの後半戦は木佐貫(洋)とテラ(寺原隼人)、井川(慶)の“ヨソ者トリオ”に助けてもらわんとな」

 パ・リーグ最下位と苦しむオリックスの指揮官、岡田彰布は、後半戦の巻き返しを誓い、3投手に期待を寄せていた。金子千尋、近藤一樹ら生え抜き投手が崩壊した先発陣の立て直しを、移籍組に託したのだ。

 昨季、開幕投手を務めながら2勝に終わり、心中期するものがあった木佐貫だったが、6月6日のヤクルト戦で一塁ベースカバーに入った際に、左太もも裏肉離れ。登録抹消となり、リハビリを続けていた。そんなある日、2人の娘が父親の膝に座りながらこんなことを話したという。

「パパはどうして、昼間から家にいるの?」

“どう答えていいか分からなかった”と木佐貫は苦笑する。娘たちにしてみれば、父親はいつも、カクテル光線に照らされている存在だった。

 そんな折、同じようにオリックスに移籍してきた寺原がこぼした言葉に、木佐貫はハッとさせられた。

「僕らは好きな野球をやっていればそれでいいかもしれないけれど、娘たちには肩身の狭い思いをさせられない」

「好きなことを仕事にしている幸せ」を噛みしめる、逆転の発想。

 野球人としての血が騒いだ木佐貫はこのとき、“逆転の発想”でマウンドに臨もうと閃いた。

「プロ10年目になってこんなことを言うのもおかしいですが、男の責任をまっとうしようとすればするほど肩に力が入っていた。好きなことを仕事にしている幸せを感じながら投げれば、力むこともないんです」

 復帰した木佐貫は7月25日、後半戦の初戦先発に抜擢されると、緩急を自在に操る投球で9回を1失点に抑え、3勝目を挙げた。続く7月31日の西武戦でも連続完投で勝ち投手に。岡田監督に名指しされた3人の投手は後半戦、5勝3敗(8月15日現在)と結果を出している。

“杉内(俊哉)さんと鹿児島県予選決勝で投げあったのを見て憧れていました”という寺原がくれた何気ない一言に「妙に救われたんです」と木佐貫。2人の娘は、また“マウンドの父”に戻った木佐貫に熱い視線を送っていることだろう。

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