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ショータイム世界王座を
奪取した山本真弘の戦略。
~躍動する日本人キックボクサー~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byBen Pontier

posted2012/08/16 06:00

ショータイム世界王座を奪取した山本真弘の戦略。~躍動する日本人キックボクサー~<Number Web> photograph by Ben Pontier

 日本人初戴冠は日本人初白星。7月21日(現地時間)、スペイン・テネリフェで行なわれた「IT'S  SHOWTIME59」で、山本真弘がハヴィエル・エルナンデスを判定で破り、SHOWTIME61kg級世界王座の奪取に成功した。

 過去このイベントに出場した日本人選手の戦績は5戦全敗。山本は一昨年12月にSHOWTIMEアテネ大会に初参戦し、セルジオ・ヴィールセンとの間で初代61kg級世界王座を争ったが、3RTKO負けを喫している。

 ヴィールセンのヒザ蹴りでダウンを奪われた挙げ句、目尻を切られた山本はパワーの差を痛感。帰国後、さっそく肉体改造にとりかかった。清原和博氏らを指導したことで知られるケビン山崎に師事したのだ。それまでの山本のベスト体重は57~58kg。持ち味であるスピードと体のキレを落とさずにパワーアップを図るためには時間が必要だった。

 その成果は今年になってから現れた。山本は知人から「体が大きくなったね」と言われることが多くなった。今回もエルナンデスに体ごとぶつかられても後退する場面はなく、逆に押し返して自分から攻撃を仕掛ける場面が目立っていた。

敵地でポイントを取るために繰り出した、会心の飛びヒザ蹴り。

 2Rには三日月蹴りと飛びヒザ蹴りで、エルナンデスをダウン寸前まで追い込んだ。それでも、山本が深追いすることはなかった。攻め疲れて相手の反撃を許すより、スタミナをキープしておいた方が得策と判断したのだ。何よりも勝つことが先決だった。果たして4R、エルナンデスは地元の大声援を背に猛反撃を開始したが、山本はそれを凌いだ。

 そして5R、次第にタイミングが合ってきた飛びヒザで先制のダウンを奪うことに成功した。敵地ではハッキリとしたポイントを奪わなければ勝つことは難しい。筆者の目にはこのダウンなしでも山本の有利は明らかだったが、5人のジャッジのうちひとりはエルナンデスを支持し、もうひとりはドローと採点していた。ダウンをとっていなければ、山本の王座奪取は幻に終わっていた可能性が高い。

 決戦翌日、新王者が激闘を振り返った。

「エルナンデスはタフで根性があった。おかげで僕は全身打撲。こんなに深いダメージを負ったことはないですよ」

 前回の敗北を糧に山本は肉体だけではなく、精神的にも一回り大きくなった。

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