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甲子園目前で惜敗した
未完の大器・大谷翔平。
~日米のスカウトが語るその才能~ 

text by

神田憲行

神田憲行Noriyuki Kanda

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2012/08/05 08:00

甲子園目前で惜敗した未完の大器・大谷翔平。~日米のスカウトが語るその才能~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

準決勝での球速160kmは、寺原隼人を越え高校生記録だ。

 いよいよ甲子園本大会が始まる。全国から多くの才能が結集するが、そこで見られない大物投手がいる。

 岩手大会の決勝戦。マウンドに集まる盛岡大付の選手たちの歓喜の輪をちらりとみて、花巻東のエース・大谷翔平は大きな背中を揺らして三塁側ベンチに戻っていった。その姿を見て、筆者は「彼の才能を育てるには3年間ではまだ足りないのか。それほど大きな才能なのか」という感慨にとらわれた。まさかの5失点を喫し、甲子園直前での敗退だが、それが大谷の評価を減じることにはならないだろう。

 起伏の多い3年間を過ごしてきた。

 入学時、佐々木洋監督は、センバツ準優勝の偉大な先輩・菊池雄星を乗り越えることを大谷に課した。そのために大谷は、日本最速となる《163km》という目標を記した紙をトレーニングルームに貼る。前人未到の高校生160kmを目指す旅が始まった。

準決勝の一関学院戦、ついに高校生史上最速となる160kmをマーク。

 だが2年夏の直前、左股関節の骨端線を損傷。投球練習は禁止され、ランニングメニューが中心になった。

「むしろじっくり身体を作る機会になりました」(佐々木監督)

 特に取り組んだのは食事トレーニングだ。入学時は身長186cmに体重65kgだったが、丼飯を朝3杯、夜7杯食べる“丼飯トレーニング”を実施、現在の193cm、86kgの堂々たる体格を作り上げた。

「本当は去年の12月ぐらいに痛みは完全にひいていました。しかし本人が投げたいというのを我慢させて、今年の1月から本格的な投球練習をさせました」(流石裕之部長)

 今春のセンバツでは、優勝した大阪桐蔭に敗れた。固まっていないフォームが試合後半に崩れ、制球が安定しなかったのだ。

 そして夏、すべてを懸けて挑んだ最後の岩手大会。大谷は準決勝の一関学院戦で高校生史上最速となる160kmをマークする。

 筆者が注目したのは、左打者の膝元に吸い込まれるようなストレートだ。かつて多くのプロ野球選手を育てた監督からこう聞いていた。

「高校生で身長185cmを越えると、内転筋の成長がいちばん遅れるから、身体を絞って投げる低めのストレートが伸びない」

【次ページ】 我々は大谷翔平の本当の姿をまだ見ていない。

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