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名将を続々輩出する沖縄、
浦添商監督の手腕に注目。
~無名集団、夏の甲子園に挑む~ 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2012/08/04 08:00

名将を続々輩出する沖縄、浦添商監督の手腕に注目。~無名集団、夏の甲子園に挑む~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

沖縄大会決勝で沖縄尚学を下し、4度目の甲子園出場を決め歓喜の輪を作る浦添商ナイン。

 福岡大会選手名簿のあるページを見て、一瞬目が止まった。福岡第一高校の監督が「盛根一美」となっていたからだ。昨年度まで沖縄・中部商の監督だった方で、'97年夏の選手権では浦添商をベスト4に導くなど、沖縄の高校野球界に大きな足跡を残してきた。

 福岡のマスコミ関係者に「盛根さん、福岡第一の監督になったんですか」と聞くと、「沖縄から本土に監督が移る時代になったんですね」と感慨深げだった。

 盛根氏以外でも、'10年に春・夏連覇した興南の我喜屋優、'08年春に選抜優勝を果たした沖縄尚学の比嘉公也、その沖縄尚学を破って出場した'08年夏に浦添商をベスト4に導いた神谷嘉宗(現美里工監督)各氏など、沖縄には名将と言われる監督が続々誕生している。そういう沖縄野球の勢いが「福岡第一高・盛根一美監督」からは濃厚に感じられた。

 今夏、沖縄大会を制したのは神谷、盛根両氏も監督を務めた浦添商だ。監督は'11年春に就任した宮良高雅氏。高校野球の指揮を執るのは同校が初めてである。

 '97年は上間豊、'08年は伊波翔悟という絶対的なエースを擁してともにベスト4に進出したが、今年は様相を異にする。安定感のある宮里泰悠と、MAX147kmの本格派・照屋光という3年生右腕の継投で勝ち上がってきたのだ。

幼馴染かつライバルの“ダブルエース”を使い分ける操縦術。

 昨秋の九州大会出場をかけた沖縄大会準決勝は宮里先発、照屋リリーフで臨み、今夏の沖縄大会決勝は照屋先発、宮里リリーフで沖縄尚学を下した。宮良監督はどちらか一方を先発、リリーフに固定する考えはないようで、雑誌『ベースボール沖縄』には「誰が投げるかは前日に言い渡す」とコメントしている。

 小、中、高校を通じてのチームメートである2人は幼馴染であり、エースの座を争うライバルでもある。役割を決めないことで、ライバル意識を刺激するという配慮は心憎いばかりだ。

 これまでの沖縄勢は東浜巨('08年沖縄尚学)、島袋洋奨('10年興南)など、「超高校級」の冠がつく大エースがいたとき甲子園大会で躍進したが、今年ははっきり言って全国的には無名の選手ばかり。

 就任2年目の宮良監督が、無名集団をいかに操って全国の強豪に立ち向かうのか。近年充実が著しい沖縄野球の采配力が、試される大会になりそうだ。

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