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戦力外通告から蘇った
中村紀洋を支えた言葉。
~三浦大輔との誓いが力に~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byKYODO

posted2012/08/04 08:00

戦力外通告から蘇った中村紀洋を支えた言葉。~三浦大輔との誓いが力に~<Number Web> photograph by KYODO

7月17日のヤクルト戦でこの日、2本目の本塁打を放つ。得点圏打率はリーグ1位を誇る。

「最近、野球を楽しんでいますよ」

 横浜スタジアムで会ったDeNAの中村紀洋は、8年振りのオールスター出場を決めると、屈託のない笑顔でこう言った。

 古巣・近鉄の本拠地だった京セラドームで行なわれた7月20日のオールスター第1戦を前に中村は「娘のために、初球から本塁打を狙います」と宣言。第1打席の初球、パの斎藤佑樹のストレートをレフト最上段へ運ぶ、逆転2ランを放った。「カッコいい親父の姿を見せられて良かった」というセリフも決まりすぎていた。

 '92年、ドラフト4位で近鉄に入団。駆け出し時代は、“20本塁打を打つまでは外出禁止”と自らを律して、バットを抱いて眠った。誰よりも年俸にこだわった中村はかつてこう語っていたことがある。

「高額な契約金で入団している上位指名の連中に対しての思いが強い。だからこそ、結果を出したら年俸を上げてくれと言いたくなる」

「このままで終わりたくないから、お互いに頑張ろう」

 その後、近鉄“猛牛打線”の中心選手として結果を出して、メジャーに挑戦。アメリカで夢敗れ、日本に復帰するも、手首の故障に苦しみ、'07年にオリックスから戦力外通告を受ける。テスト生として中日に入団すると、同年の日本シリーズで日本ハムのダルビッシュ有を打ち崩し、シリーズMVPに輝き、年俸アップを勝ち取った。'08年オフにはFA宣言をして、楽天に移籍したが高額年俸がネックになり、再び戦力外通告を受けた。“年齢と年俸の費用対効果”の犠牲になってきた選手と言えるかもしれない。

 浪人期間を経て、'11年5月に横浜に入団。ここで出会った同級生のベテラン三浦大輔の存在が大きな影響を与えた。ともにドラフト下位入団だけに、気持ちが分かり合えるのだろうか。「大輔が投げる試合は自然と気持ちが入る」という言葉通り、今季は三浦が投げた14試合で打率3割6分、14打点、3本塁打と大活躍。三浦の前半戦8勝に貢献している。

「家族のためにも、このままで終わりたくないからお互いに頑張ろう」

 中村は、昨シーズン、三浦にかけられた言葉を忘れていないという。かつての野球小僧は、家族と仲間に恵まれて、酸いも甘いも噛み分けられる味のある39歳になっている。

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