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“CL優勝で3冠”を置き土産に……。
モウリーニョは有終の美を飾れるか? 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2010/05/22 08:00

“CL優勝で3冠”を置き土産に……。モウリーニョは有終の美を飾れるか?<Number Web> photograph by Getty Images

2冠を手にしたモウリーニョ監督。移籍がほぼ確実とされるなか、22日のCLファイナルの結果と、その後の動向に注目が集まる

 ミラノのウェイター、パオロ・サッコは今、世界で一番幸せなインテリスタに違いない。5月15日、ミラノではチャンピオンズリーグ決勝戦のチケット発売に合わせ、1000人単位のサポーターが夜を徹して窓口に並んだ。夜露をしのぐこと50時間、先頭にいたパオロ青年に“奇跡”が起きた。一番乗りの熱意に胸打たれたモウリーニョが彼への面会を希望し、クラブオフィスへ招待すると、自らのチケットを直々にプレゼントしたのである。

 昨季の王者バルセロナとのセミファイナルを制して以降、インテリスタたちの合言葉は“Vamos a Madrid!(いざマドリード!)”となった。45年ぶりとなる欧州制覇だけでなく、イタリア勢として前人未到の3冠達成に期待がかかる。すでにコッパ・イタリア、スクデットの2冠は達成し、残るはバイエルンと争うCL優勝だ。

モウリーニョの来季は“銀河系監督”でほぼ決まり?

 しかし、インテルには喉に刺さった小骨のように、決して無視できない問題がある。ほかならぬ指揮官モウリーニョの去就である。

 彼のレアル・マドリーへの移籍話は、“白い巨人”がCL決勝トーナメント1回戦でリヨンに敗退した直後から浮上した。結果を出せない銀河系軍団に欠けているのは、“銀河系監督”。ペレス会長は破格の年俸1500万ユーロ、3年契約で招聘しようとしている。

 モウリーニョは「来季のことはシーズン終了後に考える」と明言を避けてきたが、春の声を聞くころになると、これまでに見せなかった言動をちらほら見せるようになった。

 CLでチェルシー、CSKA、そしてバルサとの戦いを制するなかで、モウリーニョは「インテルは完全に生まれ変わった。たとえ今季勝てなくても2、3年のうちに必ずCLで優勝できる」と繰り返した。明日をも知れぬ身の上であるイタリアの監督が、数年先の話をすることはまれである。自身の契約期間以降の話をすれば物笑いの種になるだけだからだ。それでもなおクラブの近い将来に触れたモウリーニョの真意は、徐々に明らかになっていった。

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