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スパーズを越えたサンズ、
ダントーニ元HCの胸中は。
~プレーオフ快進撃の皮肉~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byNBAE/Getty Images

posted2010/05/20 06:00

第3戦では途中出場のゴラン・ドラギッチが第4Qだけで23得点を挙げる大爆発を見せた

第3戦では途中出場のゴラン・ドラギッチが第4Qだけで23得点を挙げる大爆発を見せた

 マイク・ダントーニ(現ニューヨーク・ニックス・ヘッドコーチ)は今、どんな思いでいるのだろうか。

 フェニックス・サンズがプレーオフ2回戦で宿敵、サンアントニオ・スパーズ相手に4連勝、意外なほどあっさりカンファレンス決勝に駒を進めたのを見て、真っ先に彼のことが頭に浮かんだ。

 2年前の夏までの5シーズン、サンズはダントーニのチームだった。速い展開で高得点をあげる超攻撃的スタイルが人気で、スティーブ・ナッシュという司令塔を得てからの4シーズンはレギュラーシーズンの勝率7割をあげる強豪だった。

 しかしプレーオフになると必ず目の前に立ち塞がるチームがあった。スパーズである。ダントーニ・サンズは4回のプレーオフ出場のうち3回、スパーズに敗れてシーズンを終えていた。結局、ダントーニは2年前、チームの首脳陣と衝突してチームを去った。衝突した理由は、ディフェンスや選手育成にも力を入れるようにと口出しされたことだったと言う。

継承+αで成しとげたブレイクスルー。

 今のサンズはダントーニ・サンズを継承したチームだ。当時のアシスタントコーチ、アルビン・ジェントリーがヘッドコーチとして指揮し、オフェンスはダントーニのシステムを土台とし、ナッシュが司令塔なのも変わらない。

 しかしその一方で、今のサンズはダントーニ・サンズに欠けていたものが何なのかを明確にした。選手の層。チームとしてのディフェンス力。ダントーニが重要視せず拒み続けてきた要素をジェントリーが取り入れたことによって、ようやくスパーズを乗り越えられたのである。

「最初の10秒だけの見せかけのディフェンスではなく本物のディフェンスをしていた」と、敗れたスパーズのヘッドコーチ、グレッグ・ポポビッチは言う。スパーズのガード、マヌ・ジノビリも「サンズは毎試合、交代で誰かが活躍していた」と、その選手層を称えた。

 これだけでダントーニを批判することはフェアではないかもしれない。第一、今のサンズもまだ究極の目標、優勝を果たしたわけではない。それでも、ジェントリー・サンズはダントーニ・サンズが一度もできなかったスパーズ越えを成し遂げたことは事実。そのことが、遠く離れたダントーニの評価にも影響してくるとしたら、何と皮肉なことだろうか。

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