SCORE CARDBACK NUMBER

激戦のプレーオフを糧に
ハワードは成長を続ける。
~NBAの若きスターが受けた洗礼~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byNBAE/Getty Images

posted2010/06/03 06:00

激戦のプレーオフを糧にハワードは成長を続ける。~NBAの若きスターが受けた洗礼~<Number Web> photograph by NBAE/Getty Images

ハワードは今季、リーグ1位となる1試合平均13.2リバウンド、2.78ブロックを記録

 プレーオフは残酷だ。相手を徹底的に研究しつくした戦いの中では、どの選手も丸裸にされ、弱点がさらけ出されてしまう。

「プレーオフでは自分の得意な動きのうち上から3つは止められる。僕は現役時代、シーズン中にすべてを見せないようにしてきた」と、元インディアナ・ペイサーズで現在はテレビ解説者のレジー・ミラー。プレーオフで多くのビッグショットを決めたクラッチ・プレイヤーの言葉は重い。そのミラーが続けて言う。「しかし、彼はまだ攻撃のバリエーションをそれだけ持っていない」

「彼」と名指しで指摘されたのは、オーランド・マジックのドワイト・ハワード。オールスターで米代表選手、2年連続でリーグ・ディフェンス最優秀選手にも選ばれた24歳の若きスーパースターだ。

 レギュラーシーズンで59勝23敗の好成績をあげ、プレーオフに入ってからも2回戦までは負けなしの8連勝と順調に勝ち進んできたマジックだったが、東カンファレンス決勝が始まると形勢が一転。試合巧者のボストン・セルティックス相手に緒戦から連敗し、あっという間に0勝3敗と王手をかけられた。サイズと運動能力に頼るハワードの動きはことごとく封じられ、フラストレーションからか、得意のディフェンスでも存在感を感じられないことも多かった。

第4戦、ようやくエースらしい活躍を見せたハワード。

 第3戦のマジックの不甲斐ない戦いぶりに、ハワードに向けられる周囲の声は厳しさを増した。オフェンスのスキル不足、リーダーシップの欠如を批判され、自らをスーパーマンに喩えたことを茶化され、道化師のような明るい性格を揶揄され、タイミング悪く封切りとなったばかりの映画にちょい役で出演していたことにも冷ややかな目が向けられた。

 シーズン終焉が懸かった第4戦、ハワードはトレードマークの笑顔を封印し、初心に戻った。「すべてを出し切ろうと思った」その結果、32点、16リバウンドとエースらしい活躍を見せ、マジックはオーバータイムの激戦を制した。

 本稿執筆時点で、東カンファレンスの優勝チームは決まっていない。ただ確かに言えることは、白旗をあげることなく戦い続けたことで、残酷なプレーオフもハワードにとっては先に進むための糧になった、ということだ。

■関連コラム► 苦い経験から学んだ、堅固なチームの作り方。 (07/12/28)
► 未来のMVP――ドワイト・ハワードという逸材。 (04/12/01)

関連キーワード
ドワイト・ハワード
オーランド・マジック
NBA

ページトップ