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平野美宇/卓球
「天才少女の粘りを生むネバネバ食」 

text by

芦部聡

芦部聡Satoshi Ashibe

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photograph bySatoshi Ashibe

posted2010/05/18 06:00

平野美宇/卓球「天才少女の粘りを生むネバネバ食」<Number Web> photograph by Satoshi Ashibe

「将来の目標はオリンピックの金メダル」と大志を抱く

「練習はいやじゃないよ。卓球が好きだから」

 母・真理子さんが指導者を務める平野卓研で日夜ラケットを振り、より強い相手を求めて、大人に混じっての出稽古にも行く。学校のある平日でも3、4時間は練習する。

「練習はいやじゃないよ。卓球が好きだから」

 あまりにも純粋なことばに心が洗われる思いだ。汚れきった我が身が恥ずかしくなる。

 この日は明大中野八王子高校卓球部の生徒さんたちが練習に来ていた。大声で気合いを発する男子高生を相手にしても、美宇ちゃんは冷静にスマッシュを決め、左右に揺さぶる。汗だくの高校生を涼しい顔で受け流し、11試合して8勝3敗で午前中の練習を終えた。

 一緒に練習に来た小2の妹・世和ちゃんとお母さんの3人で昼食のお弁当を広げる。

「きらいなものはないなー。好きなものはにんじんとピーマン。めかぶとか納豆も好き」

 こどもが嫌いな食べ物の上位ランクが好物らしく、ぱくぱくと頬張る。

「国立スポーツ科学センターでアスリートの食生活に関する講義を受けたこともあるんですけど、あまり厳密には……。でも、添加物が入っていない自然のものを、バランス良く食べさせるようにはしてますね」とお母さん。好き嫌いもないし、自分から進んで練習し、勉強も宿題もしっかりやる。えらいなあ。

山梨県で唯一無二のライバルと居残り特訓。

 3時すぎに高校生との練習を終えたが、美宇ちゃんはまだ帰らない。山梨県選手権の優勝者である神山瑶選手との特訓があるのだ。社会人も出場するこの県大会に、美宇ちゃんは2年連続で出場しており、いずれも決勝戦で神山選手に敗れている。そのライバルに黙黙とボールを打ち込んでいく。スタミナはもとより、途切れない集中力に驚く。体は小さくとも、メンタルは完全なる競技者だ。

「学校ではやってるのはね、木登りしたり、秘密基地をつくったりすることだよ」

 夕食を食べながら、学校生活を話す様子は年齢相応。おじさん、ちょっと安心しました。

平野美宇(ひらのみう)

2000年4月14日静岡県生まれ。3歳5カ月から卓球を始め、2007年の全日本卓球選手権バンビの部では福原愛以来史上2人目の小学校1年生の優勝者に。2010年には全日本卓球選手権一般の部に史上最年少となる9歳で出場し、高校生を相手に1勝を挙げた

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