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世界最高峰の米西海岸へ、
福永祐一が単身武者修行。
~“武豊超え”に挑む名血騎手~ 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byAFLO

posted2012/06/27 06:01

世界最高峰の米西海岸へ、福永祐一が単身武者修行。~“武豊超え”に挑む名血騎手~<Number Web> photograph by AFLO

ストロングリターンで勝った安田記念でGI通算16勝。福永の全盛期は始まったばかりだ。

 昨年、デビュー16年目にして初めて全国リーディングジョッキーの座に輝いた福永祐一騎手。不世出の天才騎手と言われた福永洋一の息子が、名血の真価をいよいよ発揮しだした。

 道のりは決して平坦ではなかった。中学の体育の授業で跳び箱を失敗し、足を骨折して競馬学校の入学試験を1年浪人。そのことがマスコミに報道されてしまうほど入学前から有名人で、端正なマスクに恵まれたことも含めて、ひ弱なイメージが定着してしまったのだ。

 そして、'99年には落馬事故で左腎臓摘出の大けがを負い、父と同じ道に進むこと自体に反対していた母・裕美子さんにさらなる心労をかけることにもなった。改名を勧める母の言い分を半分だけ聞き入れて、色紙などにしたためるサインを「福永雄一千」にしたところが、彼の優しさと現実にうまく対応する能力の高さを表している。

「圧倒的な技術力を」。全国リーディングに甘んじない心意気。

 '05年にはGIレースを6勝(海外含む)する大活躍を見せたが、福永は「あの頃は勢いで勝てただけ。今の方が断然うまいし、そう確信できるようになったのは3年ほど前から」ときっぱり言い切る。だからこそ、1番人気に推されたダービーで絶好のチャンスをモノにできなかった(ワールドエースで4着)ことを心の底から悔やみ、その翌週にGI安田記念(ストロングリターン)を含む、重賞3勝(トゥザグローリーで鳴尾記念、ストローハットでユニコーンS)という史上初の離れ業を達成して、満面の笑顔で小躍りすることもできるのだろう。

「調子がいいとか悪いとか、流れがいいとか悪いとか、そんなことさえも言われないぐらいの圧倒的な技術力を身につけたい」と意気込む福永騎手は、この夏、世界一の激戦区と言われる米国西海岸へ、単身武者修行を敢行する(6月28日に日本を出発し、9月8日まで約2カ月間の予定)。

 GI勝利経験もあり、モデルを兼業する美人ジョッキー、シャンタル・サザーランド騎手のエージェントから打診があったことが直接のきっかけだそうだが、「厳しいのはよくわかっているし、もしかしたらすぐに諦めて帰ってくるかもしれない。でも、上へ行くために何もしないという選択はありえない」と、その志のまっすぐさは気高いほどだ。

 あの武豊がはじき返された地に、着実に力をつけた35歳が熱くチャレンジする。

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