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ヘイワードとグリフィーJr.。
~鮮烈デビューの大物ルーキー~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2010/04/11 08:00

ヘイワードとグリフィーJr.。~鮮烈デビューの大物ルーキー~<Number Web> photograph by Getty Images

ヘイワードは地元アトランタ出身。同地のマジョリティー、アフリカン・アメリカンの希望の星でもある

「挫折も幻滅も知らない春」と書いたのはだれだっただろうか。パット・ジョーダンだろうか。ジョージ・プリンプトンだろうか。それともトム・ヴァードゥッチだったろうか。

 まあいい。アメリカ人のスポーツライターなら、ほとんど全員が口走りそうな言葉だ。アメリカ人でなくとも、スポーツライターでなくとも、大リーグの開幕戦は胸が躍る。

 面白いデータがある。1973年のクリーヴランドでは、開幕戦に7万4000を超える大観衆が集まった。ただし、当時のインディアンスは弱い。最終的にはア・リーグ東地区の最下位で終わったのだが、観客数はみるみる減りつづけ、年間合計は約61万5000にとどまった。つまり、年間ホームゲーム(81試合)全観客数のうち、実に12パーセントまでが開幕戦に集中したというわけだ。

開幕戦でのプーホルスの2本塁打は“春の椿事”ではない。

 幻滅知らずの春には、ほかにも椿事が多い。古いところでは1994年4月4日に、タフィ・ローズ(カブス)が1試合3本塁打を放っている。しかも相手は、盛りを過ぎていたとはいえ、メッツの豪腕ドワイト・グッデンだ。が、ローズのバットはそれきり湿った。以後95試合に出場して8本塁打。打率も2割3分4厘にとどまり、2年後には近鉄バファローズのユニフォームを着ることになる。

 最近では、2009年の開幕戦でエミリオ・ボニファシオ(マーリンズ)が見せてくれた。4安打、4得点、3盗塁。安打のなかにはランニング・ホームランも1本ふくまれている。開幕戦でランニング・ホームランを打ったのは、68年のカール・ヤストレムスキー(レッドソックス)以来だが、その後のボニファシオはぴたりと沈黙した。シーズンが終わってみると、127戦で116安打、95三振。OPS=611という数字もちょっと情けない。

 ただ、本物の希望を感じさせる選手も少なくない。たとえばカーディナルスの主砲アルバート・プーホルスは、今季も開幕戦(対レッズ)で2本の本塁打(5打数4安打)を放った。これは2006年の対フィリーズ戦の再現だ。開幕戦の通算成績も36打数17安打。しかも「春男」ではないのだから、彼にはやはり「大王」のニックネームがよく似合う。

【次ページ】 若き日のグリフィー・ジュニアを彷彿させるヘイワード。

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