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ドルトムントが史上最高利益を記録!
育成&勝利を両立させたクラブ運営。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2011/12/09 10:30

ドルトムントが史上最高利益を記録!育成&勝利を両立させたクラブ運営。<Number Web> photograph by Getty Images

若手の抜擢と情熱的な指導には定評のあるクロップ監督。今季序盤は躓いたものの、若い才能とともに連覇を目指す

 11月の終わりのこと。バイエルン、アーセナル、シャルケとの連戦が続き、ドルトムントのフィールド上での戦いに注目が集まる中、ピッチ外で一つのニュースが届けられた。

 ドルトムントで年次総会に臨んだバツケCEOが、昨シーズンの収支を発表したのだ。

 収入は前のシーズンの1億100万ユーロから大きく増えて1億5000万ユーロに、利益は950万ユーロを記録した。この利益はドルトムントの歴史上最高額だ。一時は1億4000万ユーロ近くまで膨れ上がった負債額も、5600万ユーロと大幅に減らしている。

 バツケCEOは高らかに宣言した。

「数年前まで、ドルトムントには希望がなく、未来もなく、そしてお金もなかった。しかし、今ではドイツにおいて見本となるべきクラブになったのです!」

 その瞬間、会場にはスタンディングオベーションが起こり、つめかけた人たちはこう叫んだという。

「唯一のドイツチャンピオン、それがドルトムントだ」

人件費は大幅増でも収支は黒字をあげた効率経営。

 特筆すべきは、人件費が4460万ユーロから5740万ユーロと大幅に増えたにもかかわらず、しっかりと利益を上げたことだろう。

 人件費が増えたのはレバンドフスキや香川などを新たに迎えたことに加えて、フンメルスやS・ベンダーと新たな契約を結び直したからだ。若くて、才能のある選手たちへの投資はクラブの方針であるため、人件費の高騰は致し方のないところだ。一方で、支払った移籍金の最高額はレバンドフスキ獲得の際に生じた450万ユーロで、ドイツ国内の他の強豪クラブと比べればはるかに少ない。

『ビルト』紙は、ドルトムントの功績をこう称える。

「クロップ監督とツォルクSD(スポーツディレクター)は財布のひもを引き締めたままで、クラブの新たな哲学を継続している。その哲学とは『スター選手を買うのではなく、作りあげる』というものだ」

【次ページ】 30歳以上で高額移籍金がかかる選手には手を出さない。

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