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日本最強牝馬陣を粉砕した
スノーフェアリーの豪脚。
~エ女王杯、衝撃の瞬間を振り返る~ 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byKiichi Yamamoto

posted2011/11/30 06:00

日本最強牝馬陣を粉砕したスノーフェアリーの豪脚。~エ女王杯、衝撃の瞬間を振り返る~<Number Web> photograph by Kiichi Yamamoto

エリザベス女王杯を連覇したスノーフェアリー。外国馬のJRA同一平地GI連覇は史上初

 ウオッカやダイワスカーレットが礎を築いた牝馬が強い時代は、その後もブエナビスタ(牝5歳、栗東・松田博資厩舎)、アパパネ(牝4歳、美浦・国枝栄厩舎)といった後継者たちが間を置くことなく続いて、日本の競馬を盛り上げている。今年のエリザベス女王杯(11月13日、京都芝2200m、国際GI)には、ブエナビスタがジャパンカップに矛先を向けた以外は、現在の日本牝馬の望み得る最高の布陣が整っていた。

 それでも日本のファンは2年連続で参戦した昨年の覇者、スノーフェアリー(牝4歳、英国、E・ダンロップ厩舎)を大外18番枠にもかかわらず1番人気に推した。昨年目の当たりにした強さ(2着に4馬身差)がそれほど衝撃的だったのだ。競馬には馬券があるため、ファンのシビアさがはっきりと表に出てくる。日本馬を応援する気持ちは当然あるが、それでも命の次に大切なお金は勝つ可能性の高いほうへと自然に向かうのだ。

「隙間を見極めただけ。余裕たっぷりだったよ」(ムーア騎手)

 レースは最低人気のシンメイフジが意表の大逃げを打ち、1000mの通過が57秒5という速いペースで推移した。しかし、2番手以下は2秒以上離れての追走だったため、馬場の速さを考慮すれば先行馬に不利はない流れだったはずだ。

 事実、直線に向いてまず先頭に立ったのは、2番手のホエールキャプチャ(牝3歳、美浦・田中清隆厩舎)。それを合図に直後からアパパネがかわしにかかり、さらに秋華賞馬アヴェンチュラ(牝3歳、栗東・角居勝彦厩舎)がそのすぐ後ろのポジションから前の2頭を呑み込む勢いを見せた。そのときには、この3頭の争いに絞られたと誰もが思ったはずだ。

 3コーナーから狭い内に潜んで気配を殺していたスノーフェアリーが、馬群を切り裂いて伸びてきたのは、次の一瞬だった。上がり33秒8の豪脚だった。アヴェンチュラの岩田康誠騎手は、「えーっ、と思わず声が出た」と衝撃の瞬間を振り返る。後ろから差してくる馬も含めて、すべてを確認したうえで勝ちに出た騎手の正直な感想が、全てを物語っている。

 一方、連覇を果たしたムーア騎手は、あっさりとこう言った。

「隙間を見極めただけ。余裕たっぷりだったよ」

 こんな凄い馬がいるのだから、世界はまだまだ広い。

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