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なでしこリーグに見える
女子日本代表の進化形。
~I神戸・星川監督の“挑戦状”~ 

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河崎三行

河崎三行Sangyo Kawasaki

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photograph byKYODO

posted2011/10/16 08:00

なでしこリーグに見える女子日本代表の進化形。~I神戸・星川監督の“挑戦状”~<Number Web> photograph by KYODO

 五輪アジア予選の中断を経て9月23日から後半戦に突入したなでしこリーグで、波乱が起こった。10月1日のアルビレックス新潟レディース戦でINAC神戸レオネッサ(I神戸)が引き分け、開幕から続いていた連勝記録が9でストップしたのである。これでチームが目標としていた全勝Vは叶わなくなったわけだが、なでしこ戦士7人を擁するI神戸のリーグ初制覇はほぼ確定的だ。

 ただ、だからといって、I神戸の試合を見る楽しみまでが失われたわけではない。このチームのサッカーは、なでしこジャパンのスタイルとの微妙な距離感が興味深いのである。

 I神戸の星川敬監督は慧眼の持ち主だ。8月のチャリティーマッチでも、実力的に劣るなでしこリーグ選抜を率いてなでしこジャパンの弱点を的確に突き、接戦を演じて見せた。その彼がリーグ戦を通じて、なでしこジャパンに問題提起している、そう深読みさせるような興味深い示唆が、I神戸のゲームには溢れているのである。

なでしこは4-4-2、I神戸は4-3-3。その違いの意味とは?

 なでしこは中盤をフラットにした4-4-2を採用している。また両サイドのMFやDFは積極的に攻め上がるが、対面の相手や敵陣形の状況によって自重せざるを得なくなることも多い。

 一方、I神戸はより攻撃的な4-3-3。中盤は逆三角形で、アンカーの位置に澤穂希を置く。そして前線のウィングにはしばしば、駆け引き無用のスピードで相手をぶっちぎれる米津美和を起用している。

 4-3-3の布陣は同格以下の国を圧倒する必要がある場合の選択肢となり得るし、肉体的な負担がより少ないアンカーのポジションは、ロンドン五輪以降の代表での澤の起用法として一考に値するのではないか。また、ポゼッションだけでは相手を崩せない場合、快足アタッカーというオプションがあれば効果的なアクセントとして機能するだろう。

 卓越した技術を持つ選手たちを活かしたポゼッションサッカーという点で、なでしこジャパンとI神戸は共通している。だがディテールの部分が両者で微妙に、しかし確実に違う。そしてその差異は、なでしこに対する星川監督からの「こんなやり方もあるんじゃないですか?」という挑戦状に思えるのだ。

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