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2人のベテランが大記録。
共通点は「一芸」にあり。
~リベラとウェイクフィールド~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2011/10/03 06:00

ファンの祝福に涙を流したウェイキー。45歳42日での200勝達成は史上2番目の年長記録だ

ファンの祝福に涙を流したウェイキー。45歳42日での200勝達成は史上2番目の年長記録だ

 偶然とは思えないほど、象徴的な同日達成だった。9月13日。西海岸シアトルでヤンキースのマリアノ・リベラが、史上2人目となる通算600セーブを挙げた。その数時間前、東海岸ボストンではレッドソックスのティム・ウェイクフィールドが、通算200勝目に到達した。41歳のリベラと、45歳のウェイクフィールド。出身国や生い立ち、投手としての役割は異なるものの、ともに絶対的な「伝家の宝刀」を武器に、長年にわたって第一線で投げ続けてきた。

 今でこそ球界最高の名クローザーとなったリベラも、1995年のデビュー当時は先発だった。だが、結果を残せず、救援へ転向した。転機が訪れたのは'97年6月。ブルペンで投球練習をしていた際、何気なく投げた速球がスライダー回転で急激に変化した。後にリベラ自身が「神から与えられたもの。自然に起こった」と振り返るように、高速カットボールは偶然に誕生した。

「宝刀」の投球頻度はどちらも約80%にも及んだ。

 '88年、一塁手としてパイレーツ入りしたウェイクフィールドは、野手失格の烙印を押されたのを機に、投手転向を決断した。そこで着目したのが、ナックルボールだった。元々手先が器用で研究熱心だったこともあり、着実に魔球を修得し、'92年にはメジャー初勝利を挙げた。そこから19年。ナックルボーラーとしては史上7人目の200勝にたどり着いた。

 2人の武器は、単なる決め球ではない。米国のデータ会社の調査によると、「宝刀」の投球頻度はどちらも約80%にも及ぶ。他の球種も投げられるが、めったに投げようとしない。打者が予測しても打てないカットボールと、どんな動きをするか分からないナックルは、メジャーでも特化された球種となった。

 投球の基本が速球であることは言うまでもない。だが、速球だけで長年活躍した選手もいない。過去の日本人メジャーにしても、野茂、佐々木はフォークという絶対的な武器を軸に結果を残した。無論、緻密な制球力や多彩な変化球を操る投球術もある。ただ、「一芸」を極めることの意義も、決して少なくない。

「何度も無理だと思った。このユニフォームを、こんなに長く着られるとは思わなかったよ」

 記録達成後、感慨深く語ったウェイクフィールドの生き様は、だれもが参考にしていい。

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