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問題児バロテッリは
塀の中では人気者。
~イタリア代表の刑務所慰問~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byAFLO

posted2011/09/27 06:00

問題児バロテッリは塀の中では人気者。~イタリア代表の刑務所慰問~<Number Web> photograph by AFLO

バロテッリの両親はガーナ系の移民。その爆発的な運動能力はアフリカ系ならではだろう

 サッカー選手の社会活動は、欧州では一般的なものとして認知されている。クラブはシーズンに何度か活動を企画し、学校訪問で子供たちとボールを蹴ったり、クリスマスに病院を訪れプレゼントを渡すなど、様々な形で一般市民と接する機会を設けている。

 この程、マンチェスター・シティのイタリア代表FWマリオ・バロテッリが、フィレンツェのソッリッチャーノ刑務所を訪問したことが話題となった。

 これはイタリアサッカー協会が企画した社会活動のひとつ。彼は代表監督のチェーザレ・プランデッリ、GKのジャンルイジ・ブッフォンと共に参加したが、刑務所の受刑者たちの注目は、バロテッリひとりに集中した。プランデッリやブッフォンにはほとんど目もくれず、バロテッリが姿を見せると所内は沸き、サインや写真を求め大騒ぎに。受刑者の中には、勢い余ってスタジアムでのコールを始める者もおり、一時は刑務所の警備員が出てきて騒ぎを収める場面もあった。この意外なバロテッリ人気には協会関係者も驚くほどだった。

なぜ人気選手よりもバロテッリが刑務所内の注目を集めたのか?

 人気選手のブッフォンを差し置いてまで所内の注目を集めたのは、彼らの多くがバロテッリと同じ有色人種だからでもある。

 近年、イタリアでは有色人種の移民の犯罪率が上昇しており、同刑務所も受刑者の70%が移民となっている。そんな犯罪率の高さからか、イタリア国内では黒人移民が社会的な差別を受けることも多い。バロテッリ自身もインテル時代にはスタジアムで差別的な野次を頻繁に受けていたように、「移民、犯罪、差別」というのは、現在のイタリアが直面する社会問題でもある。

 マンチェスター・シティでは、相手を見下すようなプレーを見せ、イタリア代表ではベンチにiPadを持ち込んだのが見つかり問題となるなど、バロテッリは問題児としてのイメージが強い。

 しかし社会貢献には関心があるようで「この活動があると聞いて、すぐに行きたいと言ったんだ」と語っている。受刑者に向けて「絶対に諦めないでほしい。人生には2度目のチャンスが必ずある」と励ますように語ったバロテッリ。世間を騒がせる問題児は、塀の中では誰よりも人気の優等生だった。

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