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夏から好調の帝京大が、
3連覇の偉業に挑む。
~大学ラグビー夏合宿を終えて~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2011/09/16 06:00

夏から好調の帝京大が、3連覇の偉業に挑む。~大学ラグビー夏合宿を終えて~<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

主将のSO森田。2年生時からレギュラーに定着。17日に日体大との対抗戦初戦を迎える

「帝京、強いねえ」

 今夏の菅平で、時候の挨拶として交わされていた言葉である。

 8月27日、菅平のサニアパークで行なわれていたのは、大学選手権で2連覇中の帝京大と、リーグ戦グループ4連覇中の東海大とのオープン戦。近年、トップリーグに次々と逸材を送り出している両校の、スカウト陣も熱い視線を送る中の対決は、コンタクトプレーの激しさ、ハンドリングスキルの精度、反則しないディシプリン(規律)、いずれも大学最高峰に相応しい攻防の連続だった。

 しかし……スコアはじわじわと、そして一方的に開いていった。ハーフタイムは帝京大の28対0。後半はトライの取り合いになったが、最終スコアは61対26。トライを取るときと取らせないとき、ボールを奪うときと奪わせないときの、全員の集中力とプレーの厳しさは、僅かに、だが明らかに帝京大が上回っていた。

「まだチームの戦い方は詰めてないけど、FWで圧倒する感覚は植え付けられたかな。味方にも、相手にも(笑)」

「地獄」と呼ばれたかつてのイメージと対照的な帝京大の夏合宿。

 春は14対19で敗れた好敵手への雪辱に、岩出雅之監督の表情にも余裕が覗く。

「夏合宿の最大の目標は、ケガしないで帰ること。選手はどうしてもアピールしたいし、1年生なんて、体力が足りなくても頑張ろうとしすぎる。僕は『無理せんでもシーズンに入ったら使うたるから、安心せい』と言ってやるんです。ここで命かけてもしゃあないでしょ(笑)」

 かつて夏合宿は「地獄」と呼ばれた。猛練習で自分を極限まで追い込み、シーズンを戦い抜く体力と、修羅場を戦う精神力を鍛え上げる。それは大学ラグビーの美談として語られてきたが、帝京大はそんな物語とは別の道を歩いて、'82~'84年度の同志社大以来の大学選手権3連覇を目指す。早大が5度、明大と関東学院大が2度挑みながら跳ね返された難業だ。プレッシャーも予想されるが、「こんな年に主将として臨めるのは幸運なこと。目標として意識してチャレンジしたい」と森田佳寿主将は言い切った。

 W杯が始まった。世界20カ国の選手が心・技・体、さらに情報力、体調管理も含めた総力を結集した戦いが連日続く。

 日本では、4年後、8年後のW杯を担う若者たちの戦いが始まる。重圧を正面から見据え、帝京大が歴史的偉業に挑む。

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