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カウンセルと45打数連続無安打。
~あわや102年ぶりのMLB珍記録~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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photograph byGetty Images

posted2011/08/28 08:01

カウンセルと45打数連続無安打。~あわや102年ぶりのMLB珍記録~<Number Web> photograph by Getty Images

もともと打率の高い選手ではないが(昨年は.250)、ここまで打てないシーズンは初めてだ

 ミルウォーキー・ブルワーズが快調だ。気がつくと、2位カーディナルスに10ゲームもの大差をつけて、ナ・リーグ中地区の首位をひた走っている。このまま進めば、地区制覇はまずまちがいない。ポストシーズンでも、もしかすると台風の目のような存在になるかもしれない。

 そのブルワーズで、8月上旬、椿事が起こっていた。

 ほとんどの人は気づかなかったはずだ。私も、少しあとになって知った。いささか旧聞に属するが、面白い話だからちょっと振り返ってみよう。

 話の主人公は、ブルワーズのクレイグ・カウンセルである。40歳を超えて現役を張りつづけるカウンセルは、典型的なユーティリティ・プレイヤーだ。180センチ、80キロ。小柄な選手で、大リーグ・デビューも25歳の年と遅い。逆にいえば、だからこそ選手寿命が長いのかもしれない。

 そんなカウンセルが、2011年6月11日から、明らかなスランプに陥った。

もしかして……1909年以来の記録を塗り替えるのか!!

 打てない。まったくヒットが出ない。

 10打数、20打数と連続でヒットが出なかったころはだれも注目していなかったが、30打数を超えるあたりから、周囲がざわめきはじめた。はっきりとしたノイズに変わったのは、40打数を超えたあたりからだ。もしかすると、これは記録になるぞ。

〈イライアス・スポーツ・ビューロー〉のデータによると、連続無安打の記録保持者は、ビル・バーゲンという選手である。バーゲンは、ブルックリン・スーパーバスで捕手をしていた1909年に、45打数連続無安打の大リーグ記録を残している。

 ところが1973年、この記録に並ぶ選手が現れた。この年、3球団(パドレス→カーディナルス→アストロズ)を渡り歩いたデイヴ・キャンベルが、ぴたりと同じ数字を記録したのだ。

 ただし、この記録は当時まったく話題にのぼらなかった。キャンベル自身、ずいぶん長くヒットが出ないなあ、とは感じていたらしいが、まさか大リーグタイ記録だったとは思わなかったようだ。

 ではなぜ、2011年のカウンセルの記録が、ささやかとはいえ、注目を集めたのだろうか。

【次ページ】 MLBにおける「史上最低の○○」とは?

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