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西村監督期待の若武者は
“優勝の味”を知る男。
~ロッテの2年目右腕、大谷智久~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2011/08/09 06:00

西村監督期待の若武者は“優勝の味”を知る男。~ロッテの2年目右腕、大谷智久~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

8月7日現在、まだ2勝ながら、自在に操るツーシームとカットボールを武器に防御率は2.61

 後半戦に向けて、巻き返しを狙うパのロッテ、オリックス、楽天は3位を狙い、クライマックスシリーズ(CS)進出に照準を合わせてきた。連戦が続く夏場に、ペンとマーフィーというローテーション投手を欠いたロッテは、先発投手が喉から手が出るほど欲しかった。西村徳文監督は、2年目の右腕・大谷智久への期待をこう語る。「敗戦処理で結果を残して、自分の力で先発を勝ち取ったのがいいんだ。一つ勝ち星がつけばガラリと変わる。勝たしたいんだ」

 7試合の中継ぎを経て、先発にまわったのは5月31日のヤクルト戦だった。その時点での防御率は0.66。その後、中日、巨人、オリックスを相手にゲームを作りながら勝ち星に恵まれず「このまま勝てないのでは」と思い始めていた。

高校、大学、社会人で優勝を味わっている大谷。

 かつて中日の落合博満監督が「高校、大学、社会人、プロと4部門で優勝を経験しているヤツはいるのかな」と話していたことがあった。大谷は高校(報徳学園)、大学(早稲田)、社会人(トヨタ自動車)で優勝を味わっている。ロッテがドラフト2位に指名した理由は、豊富な優勝経験と安定感だった。ところが昨年はパの新人で最も早い勝利を挙げながら、わずか1勝。大谷はその理由を「プロの速球投手たちの中に入って、ついつい力んでしまったから」と分析する。

教育実習で母校・早実を訪れた大谷が斎藤佑樹に伝えたこと。

 今季も勝てない試合が続き、悩んでいた時、ルーキー斎藤佑樹の投球を見て、大谷はあることに気がついた。早大時代の大谷は、教育実習で早実を訪れ、在学中の斎藤に「自分の特徴、持ち味を知ることが、野球の世界で生きる道なんだ」と語っている。大谷は“斎藤に伝えたことを自身が実行できてない”と気がついた。そして、自分の持ち味を改めて考えたのだ。答えは“ボールを変化させながら、粘り強く低めに投げること”だった。

 7月2日の楽天戦。持ち味を生かし、ようやく先発としての初勝利を挙げることができた。続く16日のソフトバンク戦では、8回3分の1を1失点に抑えた。試合後、西村監督がしみじみと言った。

「打線の組み合わせが悪くて勝利に繋がっていないが、大谷は貴重な存在だ」

“勝ち星がつかない中でも、信頼されることが大切”と考えている大谷は、優勝をかけた大舞台に強い。今季はひそかにCSでの活躍を狙っている。

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