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日本文理、金沢など躍進の北信越勢。
甲子園の土を踏むのはどの高校? 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2011/07/25 11:30

日本文理、金沢など躍進の北信越勢。甲子園の土を踏むのはどの高校?<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

日米の12球団から40人を超えるスカウトが集まった釜田佳直(金沢)。177センチの身長ながら、最速152キロを誇る速球とキレの良いスライダーを中心に、チェンジアップ、カーブ、フォーク、ツーシーム、カットボールなど多彩な球種を持つ

 近年、北信越の元気がいい。その代表格は新潟勢で、日本文理が中京大中京と'09年夏の甲子園で繰り広げた激闘(9対10)は、永遠に語り継がれるものとなっているし、翌'10年夏は日本文理とともに県内の牽引車的役割を果たしてきた新潟明訓が準々決勝に進出、強豪・報徳学園(兵庫)と1対2の接戦を繰り広げてその存在感を強烈にアピールしている。

 今年の新潟勢で注目しているのは、その日本文理。

 準々決勝の村上桜ヶ丘戦は6回表まで5対9で負けていたのを6回裏に高橋洸のランニングホームランなどで1点差、7回には同点とし、9回には早津勇人のタイムリー二塁打で起死回生とも言えるサヨナラ勝ちをしている。2年前のしぶとさは今年も健在、というより既に日本文理の代名詞になっている。

 早津は6月に行われた北信越大会の東京都市大塩尻戦(長野)でも公式戦初スタメンながら本塁打を放っている。全国的知名度を得ている湯本翔太(外野手)、高橋洸(三塁手)、波多野陽介(2年・投手)に加え、2年生ながら意外性のある早津が加わり、日本文理はますます強さを増している。

逸材揃いの石川県勢。なかでも、金沢高校に大物が揃う。

 新潟勢より個人技で優っているのが石川勢だろう。とくに金沢には逸材が揃っている。ドラフト上位候補の釜田佳直は3回戦の小松工戦で自己タイのMAX152キロを記録、ネット裏に勢揃いしたスカウトの目を釘づけにした。

 ただし、この小松工戦は課題もあった。2回には成瀬雄太(捕手)にライトへ特大のホームランを被弾、9回にも二塁打を打たれている。ともに打たれた球種はストレート。成瀬のバッティングを誉めなければいけないが、152キロを弾き出したガン表示には現れないキレや伸びに一抹の不安が残った。

 攻撃陣は中村優作(2年・外野手)、釜田、石田翔太(一塁手)の中軸に力がある。とくに3番をまかされている中村はボールを待つタイミングに迷いがなく、小松工戦はすべてのボールを芯で捉えていた。

 走塁でも手抜きが一切なく、打者走者としての一塁到達タイムは4秒切りの3.99秒(第3打席)を記録し、第1打席の二塁打では二塁到達7.90秒を記録している。いずれも超高校級と形容していい。

【次ページ】 金沢以上に攻撃陣で見るべき選手が多い遊学館。

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