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ブランコ、爆発の秘密は
“利き目”にアリ! 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKYODO

posted2009/07/31 11:30

ブランコ、爆発の秘密は“利き目”にアリ!<Number Web> photograph by KYODO

ブランコは前半戦、打率.295、本塁打28、打点74で、セ・リーグの本塁打、打点の二冠となっている

 最初にちょっと簡単なテストをします。

 親指と人差し指で輪を作り、その輪を顔の30cmほど先にかざして少し遠くの目標物を見て下さい。最初は両目で目標物が輪の中に入るように見て、次に右目をつぶって左目だけで、今度は左目をつぶって右目だけで見て下さい。両目でみたときと同じように指で作った輪の中に目標物が入って見えた方があなたの利き目です。

 人には右利きと左利きがあるように目にも利き目があることはよく知られている。人が物をみるときに目標物の実体を正確に捉らえているのは片方の目で、残りの目で捉えた像との誤差によって三角測量のように遠近感や立体感を脳が判断する。その実体を正確に捉えている方の目がいわゆる利き目となる。これは普通の手足などの右利き、左利きとは別に、個人でそれぞれ違うのだそうだ。

「実は利き目が右目だったらしいんですよ。それでガラっとバッティングが変わった」

 中日の球団関係者から聞いたのは、前半戦でセ・リーグ最多の28本塁打を放った中日のトニ・ブランコ内野手の爆発の秘密だった。

迷える大砲に火を付けた落合監督のアドバイス。

 ブランコはメジャーではほとんど実績の無い選手だったが、昨年、ドミニカのウインターリーグを視察した森繁和投手コーチが「日本向き」と見出して獲得してきた。昨年までの主砲、タイロン・ウッズ内野手の代役として期待されての入団だったが、開幕直後は打率も2割そこそこに落ちるなど不振にあえいだ。

「日本の野球に順応するために色々と工夫をした。その一つとしてスクエアスタンスを試してみたんだけど……」

 ブランコは言った。

 来日してキャンプからオープン戦と日本の打者を観察。その結果、変化球に対応する手段として多くの打者がスクエアスタンスで、やや後ろ足にウエイトを残したスイングをすることに気づいた。そこで日本の野球に順応する手段として、本来のオープンスタンスをスクエアにして打席に立つようにした。

 しかし、この順応策がむしろ逆効果だった。

 そんなときに手を差し伸べてくれたのが落合博満監督だったという。

「オープンスタンスでも変化球に対応できる」

 こういって落合監督は自分の打撃フォームの写真を何枚もブランコに見せた。

 それをきっかけに5月になってブランコはスタンスを本来のオープンに戻して打席に立つようになった。そうしたらいきなりバットが火を噴いたわけだ。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  ブランコを導いた落合監督の打撃理論とは。

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