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工藤公康の起用法に物申す!
~46歳、不屈の男にもっと敬意を~ 

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田端到

田端到Itaru Tabata

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posted2009/08/27 12:20

工藤公康の起用法に物申す!~46歳、不屈の男にもっと敬意を~<Number Web> photograph by KYODO

 先日、NHKで放送された『球団が消える? プロ野球選手会103日間の闘い』を見た。

 '04年、オリックスと近鉄の球団合併騒動をめぐり、日本プロ野球選手会が史上初のストライキを敢行。当時の古田敦也選手会会長と、松原徹事務局長のふたりを主人公に、選手会とNPB(日本野球機構)との息詰まる交渉の模様を、ドラマ仕立てで再現したドキュメンタリーだ。

 古田敦也が、オーナーたちとの交渉の席で「おまえは労働基準法を知ってるのか?」などと意地の悪い攻められ方をされる対策として、試合の合間を縫ってカラオケボックスで弁護士と法律を勉強していた、といったエピソードも初めて知ったが、いちばん目頭が熱くなったのは、工藤公康投手(当時巨人)が発言する場面だ。

 巨人の選手に松原事務局長が交渉の内容を報告に行ったとき、工藤がみんなの前でこう話す。

「自分たちは何もしてないので、申し訳ないと思っている。でも、現実に話し合いに出向いている古田や、礒部(当時の近鉄選手会長)や、三輪(当時のオリックス選手会長)に、球団から圧力が掛かるようなことがあったら、ぼくたちは立ち上がる。今度はぼくたちが彼らを守ると、そう伝えてください」

 あくまでも再現ドラマの中の工藤が発言したものだから、脚色もあるかも知れないが、普段は敵同士としてグラウンドの中で戦っている選手たちの団結と、前線に立つ者を支える彼の力強い決意表明。球界最年長の大投手の言葉に、涙腺が緩んだ。

224勝の名左腕に対して横浜は礼を失していないか?

 その工藤公康が、今、苦悩している。

 32試合登板、2勝2敗、防御率7.27(8月26日現在)。

 実働28年目のシーズンとなる今季は、初先発となった4月8日の巨人戦で8失点KOされ、二軍降格。その後は中継ぎに回り、5月25日の楽天戦で607日ぶりの白星をあげるなど健在を示してもいるが、打ち込まれる場面も多く、防御率は7点台。

 直近の登板は、8月21日の中日戦、5点リードされた7回にマウンドに上がる敗戦処理だった。その前は8月18日の巨人戦、やはり5点リードされた7回に登板する敗戦処理。その前は8月12日のヤクルト戦、ワンポイントで2球投げただけである。

 私が問題にしたいのは、工藤の数字上の不振ではない。

 横浜ベンチの、現在の工藤の起用法はあまりにも酷くないだろうか。

 通算224勝の名左腕に対して、礼を失していないだろうか。

奮闘する工藤に不意に訪れる全盛期のようなピッチング。

 忘れられないのは、8月4日のヤクルト戦だ。この日、同点の10回表にマウンドに上がった工藤は絶好調で、素晴らしい投球を見せた。145km前後の伸びのある快速球で、武内を三振、ガイエルを一ゴロに仕留め、「おお、なんだ、この球は! 工藤はもう終わりなんて誰が言ったんだよ!」と、私はテレビの前で驚愕したものである。一時の不振を脱し、全盛期にも劣らない球威とキレを取り戻しているように見えた。

 もっと工藤の球が見たい。どん底から這い上がってきた46歳の不屈のピッチングをじっくり見せて欲しい。そう思って身を乗り出したら、工藤の交代が告げられた。左打者をふたり打ち取ったところでお役ごめん。工藤が投げたのは、わずか8球だった。絶好調は本人も自覚していたのだろう、マウンドを降りるとき、珍しく悔しそうな仕草で降板に未練を見せた。

 私は工藤の投球に興奮させられたのと同時に、たとえ予定通りだったとしてもここで降板させる横浜ベンチの“センス”に落胆した。

 46歳の大投手が、泥にまみれ、敗戦処理もいとわず、毎日登板の準備を重ねる中で、ふいに現れる全盛期のようなピッチング。その価値をもっと尊重する気持ちがあれば、あの場面で機械的な交代は告げられないはずだ。工藤に代わった木塚はたちまち打ち込まれ、決勝点を奪われただけに、なおさら残念でならなかった。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  工藤は敗戦処理か左打者へのワンポイント起用のみだが……。

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