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ベンゲルを巡って観客が乱闘……。
外資の買収でアーセナルが激変か? 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2011/04/28 10:30

ベンゲルを巡って観客が乱闘……。外資の買収でアーセナルが激変か?<Number Web> photograph by AFLO

2010-2011シーズン終了までで、アーセナルの監督を15年間務めることになるアーセン・ベンゲル。来季以降、新しい外国人オーナーはクラブ史上最も長く指揮を取っている名将をどのように処遇するのだろうか

 ついに、アーセナルも外資の手に渡った。

 4月11日、米国人富豪のスタン・クロンケが、クラブ株式の約63%を手に入れた上で、完全買収の意志を表明したのだ。

 アーセナルと言えば、外国人オーナーが大半を占めるプレミアリーグにあって、最後の砦とも言うべき存在だった。いわゆる“ビッグ4”のうち、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、リバプールが揃って「外資系」と化しても、アーセナルだけは、英国人の主要株主たちが経営権を守り続けてきた。

 サポーターによる株主組織であるAST(アーセナル・サポーターズ・トラスト)は、伝統にこだわり持株の売却を拒否する構えを見せている。だが、彼らは小口の株主にすぎない。全体の27%を所有する第2の株主は、ロシア系のアリシェル・ウスマノフだ。クロンケによるクラブ買収を待つまでもなく、主要株主の中から英国色が消えたアーセナルは、実質的に外国人の所有物となっている。

“外資系オーナー”への拒絶反応の薄さはベンゲル不信の裏返し!?

 しかしアーセナルの身売りは、米国資本による2007年のリバプール買収ほどの大騒ぎにはならなかった。「外貨と引換えに魂を売った」などと大々的に非難されることもなかった。

 その理由には、クロンケが突如として現われた外国人オーナーではないことがあるのだろう。

 4年前に10%弱の株式を購入したクロンケは、今回の追加購入前の段階で所有率を約30%に伸ばしていた。同時にクラブ内での評価も、ピーター・ヒル=ウッド会長いわく、「クラブに関わって欲しくない手合」から「信頼の置けるクラブの保護者」へと、過去4年間で高まっていたのだ。

 騒ぎにならなかったもうひとつの理由として、アーセナルの6年連続無冠が濃厚となり、会長から一介のサポーターまでを含む関係者の大半が、心の中では「外資注入の潮時」だと思っていたという理由があるのではないか。

 というのも、「Arsene knows(全知のアーセン)」の合言葉でファンが全幅の信頼を置いていたはずのアーセン・ベンゲルに、交替を求める声さえ上がっているからだ。

【次ページ】 「ベンゲル限界論者」と「ベンゲル絶対論者」の乱闘。

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