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<NBA最新事情2011> オクラホマシティー・サンダー 「小さな町の大きな挑戦」 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2011/04/29 08:00

小さな田舎町にやってきた若きチーム。 大躍進を遂げた背景には、
過去の悲劇を 乗り越えた人々との熱い「絆」があった。
本拠地をシアトルからオクラホマシティに移して3年目。
ヒートアップする今シーズンのプレイオフで、台風の目となれるか!?

 初めて訪れたオクラホマシティは、想像していた以上に田舎だった。着陸直前に飛行機から見えた町は、建物の間に地面が見えるのではなく、地面の間に建物があった。空港のターミナルは1つだけ。4大プロスポーツのチームがある都市というよりは、マイナーリーグのチームしかない町のようだ。

 いったい、この小さな町でどうやってNBAチームを支えているのだろうか。その疑問がまず頭をよぎった。

 オクラホマシティを拠点とするサンダーは、3年前にシアトルからこの町に移転してきた。シアトルでスーパーソニックスとして41年間活動してきた伝統あるチームなのだが、本拠地のアリーナ問題で地元コミュニティの協力を得られずに移転し、チーム名、ロゴ、チームカラーを一新した。

田舎町での生活を大学時代の延長のように楽しむ若手選手たち。

 チームの平均年齢は25歳弱。'07年ドラフト2位指名で、昨季、今季と2年連続得点王のケビン・デュラントを中心とする若くて魅力あふれるチームである。しかし、サンダーの若手選手たちはこの田舎町での生活に満足できているのだろうか。オフの日には何をして過ごしているのだろうか。

 その疑問はすぐに解けた。

「ビデオゲームだ。あと僕はボウリングが好きなんだ。それから、チームメイトたちといっしょに家でのんびり過ごしている」

 そう話すのは22歳、プロ3年目のポイントガード、ラッセル・ウェストブルックだ。今季初めてオールスターに選ばれた成長株で、デュラントとともにチームを引っ張っている。

'08年より指揮を執るブルックスHCはチームを躍進させ、昨季のNBA最優秀監督に輝く

 サンダーの中心選手は、彼ら20代前半の若者たちだ。ほとんどの選手は独身で、まるで大学生活の延長のように、オフの日もチームメイトたちと多くの時間を過ごしている。田舎でも、気の合う仲間がいれば満足できるのかもしれない。

 ロサンゼルス育ちで、自ら「買い物好き」と言うウェストブルックにとって、オクラホマシティの生活で物足りないのはショッピング・モール。店の選択肢が少ないのだという。

「でもその代わりにここにはすばらしいファンがいて、居心地をよくしてくれている。だから、この町の生活も悪くない」と、特に不満があるわけではなさそうだ。

<次ページへ続く>

【次ページ】 試合中、全員が総立ちになる「とにかく熱い」ファン。

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