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女傑・ブエナビスタ、
オークスの次は凱旋門賞。
~ウオッカを凌駕する3歳牝馬~ 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

PROFILE

photograph byKiichi Yamamoto

posted2009/06/11 06:00

女傑・ブエナビスタ、オークスの次は凱旋門賞。~ウオッカを凌駕する3歳牝馬~<Number Web> photograph by Kiichi Yamamoto

最後の猛追でレッドディザイアを見事に差し切ったブエナビスタ。瞬発力で世界を目指す

 ブエナビスタ(栗東・松田博資厩舎、牝3歳、父スペシャルウィーク)が成し遂げた、牝馬クラシック二冠制覇。1600mの桜花賞の1、2、3着馬が、2400mのオークスでもそのままの着順でゴールに到達したことから見ても、この世代の牝馬たちの力関係がかなりはっきりしていたことがわかる。1.4倍の単勝馬券に大枚をはたいた人にとってはハラハラの鼻差だったのかもしれない。しかし、レース内容は「強い!」の一語に尽きた。終わってみれば勝っている、という事実が、競馬に限ったことではなく勝負事で一番大事なことなのだ。

絶望のなかから希望を見いだす比類なき脚質。

 レースはまさに水もので、10回戦えば5回は勝つぐらい力がある馬(あくまでも観念的な表現ですが)でも、展開によっては惨敗することがあるのが多頭数で戦う競馬の本質。ブエナビスタにとって今回のオークスは恐らくは最悪の展開だった。

 安藤勝己騎手が自ら認めた拙い騎乗もあり、残り100mの地点では、先に抜け出して二の脚を使ってさらに伸びるレッドディザイアを捕らえることなど無理、と誰もが思ったほどだった。そういう絶望的な状況から、それを覆してきっちり差し切るところがブエナビスタの持つ天性の凄味。3歳の、しかも牝馬が、これだけの妖しい雰囲気を身につけていることがファンタスティックではないか。

凱旋門賞を席巻するかもしれないその「憎ったらしさ」。

 この前週、JRA史上に長く語り継がれるであろう名牝の一頭であるウオッカが、ヴィクトリアマイルを7馬身差で快勝した。その翌週の鼻差の辛勝だっただけに、普通ならブエナビスタのインパクトは薄くなってしまいそうなものなのだが、実はまったくの逆。2着馬のレッドディザイアが、世が世なら4戦無敗の二冠馬だったことを惜しむ声まで出てくる始末で、「憎ったらしいほど負けない」というキャラクターを早くも確立してしまったのはすごいことだと思う。

 松田博調教師は「秋は凱旋門賞に挑戦することになると思う」と、大きな夢を発表した。かつて挫折に終わった先輩の名馬たちより強いとまでは言わないが、斤量面で有利な3歳で行くところに夢の実現の可能性を感じる。しかも牝馬なので牡の古馬たちとは5キロ差で走れる。「憎ったらしさ」を欧州の競馬ファンに存分に味わわせてあげたいものだ。

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