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序盤最大のサプライズは名門タイガース復活。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

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photograph byYukihito Taguchi

posted2006/06/22 00:00

序盤最大のサプライズは名門タイガース復活。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 バリー・ボンズのホームラン、若手の台頭、スター選手の相次ぐ故障など、良きにつけ悪しきにつけ話題満載のシーズンだが、序盤最大のサプライズは長年低迷していたタイガースの快進撃だろう。21世紀に入って、一度も勝率5割を突破できないばかりか、5年連続 90敗以上を喫し、3年前にはメジャーのワースト記録に『あと1』と迫る119敗。過去4回ワールドシリーズ制覇を果たした名門も、ほとんどお荷物球団に成り下がっていた。ところが、今季は5連勝という華々しいスタートを切ると、その後も白星を重ね、開幕から2カ月以上も過ぎた6月9日現在でも30球団トップの38勝23敗、勝率6割以上という、信じられないような成績を残しているのだ。

 「ジムの情熱とシンプルな考え方が浸透し、選手たちの試合に臨む姿勢に変化が表れている」

 この快進撃をジム・リーランド監督の就任効果と断言するのは、デーブ・ドンブロウスキー球団社長だ。フロリダ・マーリンズのGMとして手腕を発揮、リーランド監督とともに'97年世界一に導いた人物である。

 「いい人材を集め、実力通りの働きをしてもらうこと」

 これがリーランド監督のチームを強くするための持論。誰でも考える当たり前のことである。あえて口にするのは、これまでの14年間にわたる監督経験で実践することの難しさを身にしみて感じているからだろう。奥深いのだ。

 「キャッチボールひとつでも常に目的を持たせる。あとさきのことを考えず、いま戦っている試合、9イニングに集中させる」ことが、持っている実力を発揮するための重要な要素だと、61歳の監督は考える。大ベテランの左腕ケニー・ロジャース以外、目立った補強もなかったタイガース。それでも、サプライズが起こったのは、ドンブロウスキー球団社長が指摘するような、リーランド監督の意識革命が成功しているからなのだろう。実際、5点差をひっくり返してサヨナラ勝ちをした対ヤンキース戦(6月1日)での選手たちの打席における気迫は、昨年まで全くみられなかったものだ。こうした状況で、名門復活の決め手になりそうな若手も次々にブレークしてきている。次号はその有望株について紹介したい。

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