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突き当たった壁に、福原愛の今後が懸かる。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

posted2006/02/09 00:00

 トリノ五輪がいよいよ目前に迫ってきた。冬季競技の選手たちにとっては4年間の努力を実らせる勝負の時だが、2年後の北京五輪を目指す夏季競技の選手たちにとっても、今は大事な鍛錬の時期にあたる。北京でメダルの期待がかかる卓球の福原愛もそのひとりだが、このところの試合結果を見るとあまりいい結果が出ておらず、壁に突き当たっているような印象を受ける。

 先月の全日本選手権も散々だった。まず連覇を狙った混合ダブルス決勝でストレート負けし、4連覇がかかったダブルスも準決勝で敗退。それならばとシングルスで悲願の初優勝を目指したが、準々決勝でアテネ五輪代表の藤沼亜衣にフルセットの末、3―4で敗れ去った。3冠どころかまさかの無冠に、福原は「何やってるんだか」とうなだれたが、怒りをあらわにしたのは青森山田の吉田安夫総監督だ。厳しい表情で「ベスト8は妥当な結果でしょう。基本的な筋力や体力を強化しないと、これ以上は行けない」と苦言を呈した。

 福原は昨年から中国のスーパーリーグに参戦し、卓球王国の技術を吸収することに努めてきた。ジュニアの頃から何度も試合や合宿で訪れ、第二の故郷ともいえる中国で経験を積むことは、心と体を鍛えるうえで大きな武器になると思われたが、残念ながら今のところその成果はまだ見られない。

 技術的な問題は別にして、今の福原に一番欠けているのは勝負への執着心だろう。「絶対に勝つんだ」という強い気持ちが感じられない。準々決勝の藤沼戦も最終セットで一時は4―1とリードしながら、あっさり逆転負けした。人気者の福原が相手となると、どの選手も闘志むき出しで挑んでくる。それがスターの宿命であり、勝つためには相手以上の闘志や気迫が必要になる。まして卓球は他の球技と違ってごく近い距離で両者が対戦するため、互いに相手の表情や呼吸がまる見えになる。勝負への執着心が感じられない今の福原は、相手にとってそれほど難敵ではないのかもしれない。

 どんな一流選手でも、必ず壁に突き当たることがあるが、そこを乗り越えなくては大成しない。福原の才能は誰もが認めている。あとはどれだけ卓球に集中できるかだ。

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