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常に死と隣りあわせ、レスラーが負うリスク。 

text by

門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

PROFILE

posted2004/09/09 00:00

 高山善廣・37歳。196cm、125kg。「働き過ぎ」――。私の彼に対しての危惧が現実のものとなった。

 新日本の“真夏の祭典”G1クライマックスが終わった。'02年の準優勝者の高山が8・8大阪大会で佐々木健介戦に勝利したあと、控え室で意識を失い、市内の病院に緊急入院したのである。一時は右半身がしびれ、言葉がもつれるという危険な状態だった。翌9日、「左大脳動脈瘤血栓」の診断結果が出たが、幸いにも発症後の迅速な対応と治療で大事に至らず、22日には退院している。担当医も「プロレスラーの体力ってすごいですね」と驚くほどの体力だった。9月から芸能活動を再開。10月からのリング復帰を目指すという。

 高山選手入院の一報を耳にした時、咄嗟に頭をかすめたのは、'00年4月19日、急性硬膜下血腫で亡くなった新日本・福田雅一選手(享年27)の男子初のリング禍のこと。

 彼は188cmの長身。日大レスリング部出身。レッスル夢ファクトリーから移籍したばかりで、ヘビー級のホープとして期待の選手だった。宮城・気仙沼大会の試合中に昏倒、入院先の病院で開頭手術を行ったが危篤状態のまま帰らぬ人となった。桜散る頃だっただけに忘れられない。新日本は福田選手の事故死をきっかけに専属トレーナーを同行させることとなり、他団体も選手の健康管理につとめるようになった。

 プロレスにケガはつきもので、多団体マット時代の過当競争による弊害といってしまえばそれまでかもしれない。それにしても最近、有力選手のケガによる欠場があまりにも多過ぎる。これは業界の大いなる損失である。忘れてはならないのは興行戦争と過酷なマッチメイクの犠牲になるのは常に選手だということ。

 ノーフィアー高山はとにかく大きいことで重宝がられる。その上、プロレスと総合格闘技をこなし、口も達者。見渡してもフリーでこれ以上のタレントはいない。

 昨年、G1両国3連戦を終えたばかりの高山と会った時、「忙し過ぎだろう。疲れているのでは」と声をかけると「やっぱ、掛け持ちはきついわ。来年は試合数を少し減らしますよ」とへたり込んでいた姿を思い出す。

 老爺(!)心ながら一ファンとして「年内復帰」ではなく「年内休養」をお願いしたいところなのだが……。

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